ジェイテクトが精密工学会技術奨励賞を受賞！革新的な知識モデルでモノづくりの未来を拓く

ジェイテクトが精密工学会技術奨励賞を受賞

愛知県に本社を置く株式会社ジェイテクトは、2025年度（第21回）精密工学会技術奨励賞を獲得しました。この受賞は、同社が加工現場における熟練者の知識をデジタル化し、効率的な知識伝承と生産性向上を実現した成果によるものです。

受賞の背景と目的

日本の製造業が直面する課題のひとつが、少子高齢化による労働力の減少と熟練者のノウハウの失伝です。特に加工分野では、熟練者の技術が個人に依存しているため、その知識を効率的に次世代に引き継ぐ仕組みが必要とされています。

ジェイテクトはその社会的課題を踏まえ、「技術をつなぎ、地球と働くすべての人を笑顔にする」という理念のもと、2030年を見据えたビジョンを掲げています。このビジョンは、単なる製品の提供にとどまらず、モノづくりの未来に向けたトータルソリューションを創出することを目指しています。

知識モデルの開発

今回の受賞の要因である「知識モデル」は、熟練者の思考プロセスをデジタル化し、可視化することで形成されました。このモデルによって、加工に関する専門的な知識や技術用語の関係性を構造化することが可能となりました。これにより、製造現場での課題解決が大幅に迅速化され、試行錯誤の時間が短縮されるため、現場での生産性が飛躍的に向上しています。

さらに、社内教育や加工条件の選定においてもこの知識モデルを活用。新人教育においては教育時間を約60%短縮し、条件選定でも熟練者と同等の加工結果を得るための時間を大幅に削減することに成功しました。

受賞者のコメント

受賞を受けて、開発チームは「製造業全体の課題である熟練者の知識伝承に対し、大きな一歩を踏み出すことができた」とコメントしました。今後は、推奨される加工条件を提示し、加工結果の予測が行えるようになることで、誰もが熟練者と同レベルの加工技術を習得できるようになるという目標に向かっています。

未来への展望

ジェイテクトは今後、この知識モデルを汎用円筒研削盤に展開し、研削加工のデジタルトランスフォーメーションを図る計画です。また、知識を構造化し、幅広い分野で活用可能な形で提供することで、モノづくりの未来に貢献することを目指しています。暗黙知を形式知に変えることで、日本の製造技術を次世代へと継承する基盤をさらに固めていくことでしょう。