Visual Bankが新たに提供するデータセット
東京都港区に本社を構えるVisual Bank株式会社は、 AI学習用データソリューション『Qlean Dataset(キュリンデータセット)』の新たなラインナップとして、スケートボードバートの動画および画像データセットを発表しました。これにより、AI開発者や研究者が利用できるデータ素材のバリエーションがさらに広がります。
スケートボードバートデータセットの概要
今回のデータセットは、特にスケートボードの技術的な側面に魅了される方々にとって価値のあるもので、14歳の日本人男性プロスケーターがバートで行うトリックを、6つの異なるアングルから撮影した詳細な情報が含まれています。データセットには、動画ファイルと画像ファイルがそれぞれ収録されており、そのデータ量はそれぞれ45.58GBと102.49GBに及ぶため、十分な情報を提供することができます。
データセットの特徴
- データ形式: mp4
- データ件数: 36
- 撮影時間: 15分38秒
- データ形式: jpeg
- データ件数: 17,124
データ収集は屋内スケートパークのバートランプ場で行われ、実際の競技環境に即したリアルな背景が提供されています。また、空中のトリックや着地動作など、スケートボードの多様な動きを解析するにあたって最適な資料となることでしょう。
ユースケースの幅
このデータセットは、AIや機械学習の開発に多くのユースケースを持っています。以下は、そのいくつかを紹介します。
1. 空中姿勢推定・骨格認識
バートでのトリック映像を2アングルから同時に収録することで、空中での姿勢や着地の動作を含めた複雑なフォーム解析が可能です。これにより、スポーツ科学や運動研究において高精度な姿勢推定アルゴリズムを構築することが期待されます。
2. トリック識別・スポーツ映像解析
各種トリックが収録されているこのデータセットは、AIによるトリックの自動識別やパフォーマンスの解析に非常に有効です。これにより、スポーツ中継のハイライト抽出や選手のトレーニング支援など、様々なスポーツテック分野での応用が期待されています。
3. 競技採点・トリック評価AI
公式トリック映像を利用することで、AIによる採点支援や演技評価モデルの学習が可能です。このアプローチは、競技大会の公平性を向上させ、選手へのフィードバックツールとしての需要も見込まれています。
4. バーチャルスケート体験・メタバース応用
多様な視点から記録された映像データは、VRやARでのスケートボード競技体験、または教育コンテンツの開発に最適です。これにより、観戦者の臨場感を強化し、メタバース内でのスケート競技を再現することが可能となります。
5. 空中バランス制御ロボット研究
空中での回転や着地コントロールを含むトリック動作は、ヒューマノイドロボットやスポーツロボットの模倣学習に対しても有用です。特に、バランス制御や協調動作の精度向上といった観点から、今後の研究に貢献が期待されます。
まとめ
Visual Bankが今夏提供を開始した『Qlean Dataset』の新データセットは、研究と商業利用を見据えた高品質なデータを有するものです。このデータセットは、これからのAI開発にとって、ますます重要な資源となることでしょう。また、同社のアカデミア支援プログラムも注目を集めており、技術開発に取り組む大学や非営利団体へ無償でデータ提供が行われることで、さらなる研究の発展が期待されます。