自動車整備業界の厳しい現実、過去最多445件の業者が消滅

自動車整備業界の厳しい現実

自動車整備業は、今や厳しい局面に直面しています。2024年度には、自動車整備を行う事業者の休廃業・解散件数が382件に達し、さらに倒産を含めると総計で445件もの業者が市場から姿を消しました。これは過去最多の記録であり、業界の厳しさを物語っています。

主な要因

この現象の背景には、いくつかの要因が存在しています。まず、人件費やパーツの仕入れ価格が高騰していることが挙げられます。特に、整備士の不足が深刻な問題であり、若者の整備士志望者が減少していることや、高齢化が進んでいることが影響しています。そのため、受注が限られ、納期の遅延や業務の制限が頻発しています。

さらに、少子高齢化に伴う自動車ユーザーの減少も主要な要因です。自動車維持のための費用を抑えようとする消費者が増えており、整備ニーズの変化に対応できない業者は淘汰される運命にあります。また、最近では電気自動車やハイブリッド車など、先進的な技術に対応した整備が求められる一方、街の整備工場はこれに対する準備が整っていない場合が多く、正規ディーラーに顧客を流失させてしまうことも少なくありません。

統計データの分析

帝国データバンクの調査によれば、2024年度の自動車整備業者の損益状況では、約26.2％が赤字を計上していることが明らかになりました。さらに、業績が悪化している企業は52.9％に達しており、半数を超える事業者が厳しい立場に置かれているのです。特に整備士不足は業績に直結しており、業界全体の持続可能性が問われています。

業界の取り組み

このような状況を踏まえ、大手自動車メーカーは整備士の教育・育成に取り組み始めています。また、全国の自動車車体整備事業者と損保会社との協力も進められ、整備代金の単価引き上げが合意されるなどの動きもあります。しかし、これらの取り組みが効果を上げるには時間がかかり、その間にも業者の淘汰が進む可能性があります。

顧客基盤も新車の販売不振に伴い縮小し続けており、これに対応できない整備業者は市場から脱落する運命にあると言えます。業界全体が直面する問題への迅速な対応が、今後の生き残りにとって鍵となるでしょう。