桑原裕子が贈る俳優座創立80周年記念公演『霧ぬけて』の魅力を徹底解剖

俳優座創立80周年記念公演『霧ぬけて』の全貌

2025年9月19日より開催される『霧ぬけて』は、劇団俳優座の創立80周年を記念して制作される重要な舞台です。この作品の作・演出を担うのは、実力派の桑原裕子氏。彼女が描く新たな物語は、現代社会に生きる人々の心の有り様を掘り下げ、愛のさまざまな形に迫ります。

舞台の背景とテーマ

俳優座の80周年のテーマは「未来へつなげる人間の可能性を考える」。桑原裕子氏はこのテーマを基に、「愛情」が抱える「歪み」や「依存」を中心に物語を構築しました。家庭内暴力から逃げた女性と彼女を受け入れた女性との再会から始まるストーリーは、身近な人との関係に潜む葛藤や、そこからの成長を描きます。『霧ぬけて』というタイトルには二つの意味が込められており、霧から抜け出すことで光を見出すというメタファーと、危機から逃れることを暗示しています。この複雑で深いテーマを、桑原氏の独特のユーモアが彩ります。

あらすじ

物語は、かつて多くの子どもたちが暮らした孤児院を舞台に展開します。最後の子どもが巣立った日、園長は目的を失い、仕事を失った私のもとに、余生を求める女性が現れます。流れ着いた彼女は、すり切れたぼろぞうきんのようになり、過去の記憶に戻りたがります。ここは「霧の家」。誰にも見つけてもらえなかった人々が集う場所であり、彼らの愛には執着、依存、嘘、さすらいが渦巻いています。彼女たちの不完全な心の姿は、観客に共感を呼び起こすことでしょう。