冨永愛が加賀水引の伝統を紐ぐ旅
毎週水曜夜10時に放送される「冨永愛の伝統to未来」では、モデルで女優の冨永愛が日本各地の伝統文化に迫ります。本記事では、3月19日の放送で彼女が訪れた石川県金沢市の伝統工芸、加賀水引をクローズアップ。
加賀水引は、冠婚葬祭で使用される帯紐で、特にご祝儀袋や香典袋に添えられるものが知られています。金沢市の老舗「津田水引折型」は、大正4年に初代津田左右吉が立体的な水引の結びを考案し、以降その技術が大切に受け継がれてきました。特に、甲冑や鶴亀の立体的な水引細工は、金沢の重要な伝統として広く認知されています。
津田水引折型の工房には、初代の左右吉が残した貴重な図案が保存されており、冨永愛はその一部を特別に見学しました。興味深いのは、これらの図案には完成形の絵が描かれているだけで、その作り方はほとんど記されていないことです。再現が難しい図案も多く、4代目の津田宏さんによると左右吉が編み出した技法を「無茶苦茶流」と呼び、まさに芸術的なものであることが伺えます。洗練された水引アートは、最近ではホテルなどの演出にも利用されるようになっています。
水引には様々な結び方があり、その用途によって使い分けることが重要です。たとえば「蝶結び」は、何度結び直すことが許されるお祝い事に使われ、一方で結婚祝いに蝶結びを使うことはタブーとされます。結婚祝いには「一度きりの結び」を象徴する「あわじ結び」が適しているそうです。冨永愛もこのあわじ結びに挑戦しましたが、初めは硬い水引をしごいて柔らかくし、形を整えていくのが非常に難しい作業だったようです。いびつな形にならないよう慎重に進めなければならず、さらにやり直しが効かないため、完全なあわじ結びを完成させることができるのか、緊張感が漂いました。
ところで、加賀水引を未来へつなぐために、5代目の津田六佑さんは新ブランド「#000 BLACK KOGEI」を立ち上げています。これは、これまで悪いイメージがあった黒を基調とした水引を用い、アクセサリー等の新商品を開発するものです。この新たな試みは、伝統に新風を吹き込む意味でも注目されています。
また、「北陸の伝統を未来へ紡ぐ」コーナーでは、金沢市で昨年11月に開催された「金沢箔」と「能登上布」のワークショップの様子も紹介されます。「冨永愛の伝統to未来」の加賀水引編は、2023年3月19日(水)夜10時よりBS日テレで放送されます。さらに、番組の公式SNSでは、ロケの舞台裏や冨永愛のオフショットも公開されるとのこと。
伝統工芸の深い魅力と、その未来に迫るこの番組、ぜひご覧ください。