岡山発の環境ベンチャー「次の灯」とその挑戦
岡山県総社市に拠点を置く次の灯株式会社は、燃料添加剤『SUSU-GOROSHI(ススゴロシ)』の販売を通じて、環境問題と生産性の向上に取り組む企業です。2020年の発売以来、全国の物流や建設、農業といった多様な現場に導入され、累計販売本数が9.1万本を超え、売上は4億円を超えました。これは、同社が持つ燃料添加剤に対する独自の技術と、地道な営業努力の成果と言えるでしょう。
燃料添加剤の効果と特長
『SUSU-GOROSHI』の主な特徴は、ディーゼル車や産業機械のDPF(ディーゼル微粒子フィルター)洗浄頻度を半減し、生産性を最大2倍に引き上げる点です。具体的な効果としては、エンジン音の低減や燃費の改善、黒煙の削減などが挙げられます。特に燃費改善は6〜10%に達する事例もあり、これによりユーザーのコスト削減にも寄与しています。
次の灯の代表取締役CEO、黒川聖馬氏は、「地方の整備工場から生まれた技術で、現場の生産性を2倍にしたい」と述べています。これは、既存のトラブルを事後的に解決するのではなく、事前に防ぐという予防的アプローチが大きな要因です。
開発の背景と技術
次の灯は、DPFの詰まりが現場での稼働停止を引き起こすという課題に着目し、整備士の「煤トラブル自体を減らしたい」という声から『SUSU-GOROSHI』を開発しました。これまでの酸化鉄系触媒の限界を克服するために、酸化セリウムを主成分とした独自の配合を採用し、約250℃から煤の再燃焼を促します。この特長により、冬場や低負荷での運行時など、煤が詰まりやすい状況でも効果を発揮します。
環境への配慮と未来の展望
次の灯は、環境と人との新しい関係性を築くために挑戦し続けており、Amazonの車用添加剤カテゴリーでは販売実績No.1を達成しています。地方から生まれた技術が全国に広がる様子は、企業の可能性を示す好例と言えるでしょう。さらに、YouTubeでの独自のデジタル発信力により、ユーザーからのフィードバックを迅速に製品に反映しています。
さて、次の灯は今後さらに循環型資源ビジネスへ領域を拡大し、海外展開や新技術の応用に向けたテスト販売も開始しています。2026年には、排出削減効果を可視化する独自の指標「CO₂スコアリング」のリリースも予定されており、より一層の環境配慮が期待されています。
これらの活動を通じて、次の灯は「環境負荷を下げることで生産性を高める」未来を実装することを目指しています。岡山発の環境テクノロジーが、今後どのように世界に影響を与えていくのか、その行く先に注目です。