新しい軸受一体歯車「JIGB®」がもたらす未来
1. 開発の背景
愛知県刈谷市に本社を置く株式会社ジェイテクトは、自動車部品や工作機械事業において高い技術力を誇ります。この度、同社は新たに開発した軸受一体型歯車『JIGB®』(JTEKT Integrated Gear Bearing®)を発表しました。これまで別々の部品として扱われてきたギヤとベアリングを一体化することで、自動車や産業機械の機能性を大幅に改善しています。
ジェイテクトは「モノづくりの未来を創るソリューションプロバイダー」を目指し、2030年までのビジョンを掲げています。この裾野を広げるために、社内外の技術を集結させるソリューション共創センターを2025年に開設予定です。これにより、より良い製品を提供し、モビリティ産業の進化に貢献しています。
2. JIGB®の特長
『JIGB®』の最大の特長は、ギヤとベアリングを一体化している点です。従来はそれぞれの部品が異なる性能要件を持つため、別々に組み込まれていました。ですが、JIGB®はその組み合わせにより、ユニットの小型化を実現しました。さらに、ギヤの強度を強化し、ベアリングにおけるトルク損失を軽減できる最適な構造を持っています。これなければ、ギヤの靭性とベアリングの耐久性を両立することは非常に困難だったでしょう。
a) ギヤシャフトの改善
通常のギヤシャフトでは、シャフト径による制約からベアリングのサイズダウンが難しく、トルク損失が発生していました。しかし、JIGB®ではシャフトの外径に軸受軌道を追加。これにより、ベアリングの内輪が不要となり、ユニットサイズの縮小およびトルク損失の低減を可能にしました。さらに、ベアリングの圧入工程を省略することで、生産効率の向上も図っています。
b) ギヤ内径へのベアリング一体化
『JIGB®』は、ギヤ内部にベアリングを組み込む新しい設計思想を持っています。従来の技術では、組付け時に生じる隙間によってギヤ全体の強度が低下するリスクがありましたが、この一体化によりその傾きを抑制し、サイズの縮小を実現しました。また、部品点数が削減されることで、製品の複雑さも軽減されています。
3. 今後の展望
ジェイテクトは、JIGB®を通じてモビリティ社会のさらなる進化に貢献する製品を開発し続けます。これには、自動車や産業機械だけでなく、さまざまな分野での性能向上が期待されています。今後の技術革新に注目が集まります。
4. SDGsへの取り組み
ジェイテクトグループは、2035年までにカーボンニュートラルを達成するとの目標を掲げており、『JIGB®』の開発もその一部です。取り組むべきは、持続可能な産業と技術革新の基盤を確立すること。そのために、同社は製品の電動化や効率向上を進めており、各種プロジェクトを展開しています。これからも、未来のモビリティを支える存在として進化を続けます。
今後の動向を見守りつつ、ジェイテクトの技術革新から目が離せません。