中古車検査の新時代を切り開く双日の外装スキャナー
双日株式会社は、株式会社Preferred Networks(以下「PFN」)との共同開発により、中古車の外装を精密に検査できるドライブスルー型の外装スキャナーを発表しました。従来の目視による検査では起こりがちな精度のバラつきを解消するために、このスキャナーは自動化を目指しています。2025年秋には、岐阜県のJU岐阜羽島オートオークションで実証実験を開始し、2026年春にはサービス提供を開始する見通しです。
外装スキャナーの進化
このスキャナーは、幅5メートル、高さ3.6メートル、奥行き1.2メートルの設計で、既存の検査レーンに容易に追加設置できるのが特徴です。PFNが開発した光学技術に基づくカメラが、車両の各角度を同時にスキャンし、画像処理を行うことで、傷やへこみ、さび、再塗装の痕跡などを明確に可視化します。特に再塗装跡の見落としが多い白、シルバー、グレーといった色の車両において、このスキャナーは大きな強みを発揮します。1台あたりのスキャン時間は約30秒と高速で、効率的な検査が可能です。
今後は、実証実験を通じてAIによる学習を進め、瑕疵の自動検出や判別精度の向上を目指します。加えて、検査表の自動作成機能も検討されています。
JU岐阜羽島オークションでの役割
JU岐阜羽島オートオークションは、年に23万台以上の中古車を取り扱う大手オークションです。このスキャナーを導入することで、外装瑕疵の検査を強化し、より信頼性の高い車両情報を提供できるようになります。さらに、双日が開発したタイヤ溝計測器とアンダーボディ撮像機も併せて設置し、タイヤの摩耗や車両下回りの腐食状況を数値化して可視化する取り組みも進めています。
2026年3月までの実証実験を経て、サービスの販売が開始される予定です。これにより、購入希望者はより安全で透明性の高い中古車を選ぶことができるようになります。
ボッシュとの連携
双日は、ボッシュ株式会社との提携にも力を入れています。ボッシュが提供する「BCHR」は、事故歴を可視化する評価サービスで、事故の履歴を詳細に診断したレポートを生成します。このデータは、日本の警察や裁判所でも信頼性のある資料として利用されており、高い信頼性を誇ります。双日は、BCHRを通じて新たなサービスメニューをオークション参加企業向けに提供する予定です。
デジタルへ向けた双日の戦略
双日は、中期経営計画2026において「Digital in All」を掲げ、デジタルによる成長と価値向上を重点的に推進しています。自動車部門においても、新たなサービス構築に向けた取り組みを進め、流通の透明性向上に貢献していく考えです。
これらの新たな技術導入により、中古車市場の信頼性がますます高まり、消費者にとっても安心できる選択肢が広がります。双日の革新による中古車検査の未来に注目です。