パナソニックとVicOne、次世代コックピットのセキュリティを強化
自動車産業におけるサイバーセキュリティの重要性が高まっている中、パナソニック オートモーティブシステムズとVicOneが提携し、次世代のコックピットシステムを守るための新たなセキュリティソリューションを発表しました。本稿では、両社の技術的革新がもたらす影響とその背景を詳しくご紹介します。
セキュリティソリューションの進化
最近、パナソニックとVicOneは、自動車のコックピットシステムに向けた新しいセキュリティソリューションの機能を強化し、技術検証を完了しました。このセキュリティソリューションは、パナソニックが開発した「VERZEUSE(R) for Virtualization Extensions Type-3」と、VicOneの「xCarbon」の統合で構成されます。この新しい仕組みにより、Automotive Grade Linux(AGL)基盤のリファレンスボード上で、コンテナ間の通信を効率的に監視できるようになりました。
この技術は特に、外部ネットワークと接続されるソフトウェア領域におけるリスクを軽減し、自動車の重要な機能を守ることを目的としています。具体的には、インフォテインメントシステムのような攻撃を受けやすい機能と、車両制御に関わる重要な機能との間の通信を監視し、不審な通信をリアルタイムで検知・遮断します。
未来の自動車を守る技術
2025年8月に開催される「第31回ITS世界会議2025アトランタ」においても、この新しいセキュリティソリューションが披露される予定です。自動車の進化が続く中、サイバーセキュリティの強化はもはや選択肢ではなく、必要不可欠な要素となっています。
この背景には、SDV(Software Defined Vehicle)の台頭やネットワークに接続される車両の増加があります。近年では、国連による自動車サイバーセキュリティ法規であるUN-R155が施行され、自動車メーカーはサイバーセキュリティ対策を義務付けられるようになりました。これにより、車両が不適切なセキュリティ対策を講じている場合、販売できなくなるリスクも生じています。
重要性の増すサイバーセキュリティ
VicOneの「xCarbon」は、今回のセキュリティソリューションにおいて、サイバー攻撃から車両を保護する役割を果たします。このソフトウェアは、不正アクセスや通信異常などを迅速に検出し防御します。さらに、「VERZEUSE」からのリスクが高い通信を選別して「xCarbon」に渡すことで、より効率的な監視を実現しています。
このような共同の取り組みは、自動車業界全体におけるセキュリティの重要性を再確認させます。日本国内では、2022年以降の新車販売に対して、この法規が適用されており、2026年にはすべての新車が対象となります。これにより、企業はますます厳しい環境に置かれることとなり、セキュリティ対策への投資が求められています。
今後の展望
パナソニック オートモーティブシステムズとVicOneは、今後も次世代コックピットシステムに関するサイバーセキュリティを進化させ、さらなる安全性と信頼性を提供していく意向を示しています。車両がネットワークにつながることで新たな脅威が増えている中、これらの企業の取り組みがどのように自動車業界を変えるのか、今後の動向に期待が寄せられます。
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