未来の映画人を育てる「なら国際映画祭 for YOUTH 2025」
2025年の9月21日から23日まで、奈良県の歴史ある街並みの中で「なら国際映画祭 for YOUTH 2025」が盛大に開催される。NPO法人なら国際映画祭が主催し、次世代の映画人を育成することを目的としたこの映画祭。
この映画祭は、10代の若者たちが心血を注いで創り上げるもので、映画制作や審査、運営までを彼ら自身の手で行っている。特に注目すべきは、ユース映画制作ワークショップの作品である『縁 en』が上映され、さらに、若者たちの夢を映画で追った短編作品『やまのべradio』も紹介される。
充実した上映ラインナップ
今年の上映プログラムは多彩で充実している。ユース映画制作ワークショップで製作された『縁 en』に始まり、NARAtive jrからの『やまのべradio』、さらにベルリン国際映画祭から選ばれた3作品、そしてショートショート フィルムフェスティバル & アジア2025の受賞作品5作品が並ぶ。
特に、ベルリン国際映画祭からの3作品は日本初上映となり、映画ファンの心をつかむこと間違いなしだ。例えば、インドの小村を舞台にした『ヴィレッジ・ロックスターズ 2』は、夢を追う少女の成長物語を描き、視覚的にも心に響く内容である。特に、音楽という媒介を通じて語られる彼女の苦悩と成長は、多くの観客に共感を呼ぶことだろう。
別の作品『海辺へ行く道』は、子供たちと秘密を抱えた大人たちの交錯する姿をユーモラスに描き出す。海辺の美しい風景を背にした物語は、見る者に優しさとユーモアを届ける。さらに、喪失をテーマにした『テット・ブリュレ』も、若者たちが直面する現実の厳しさと、それを乗り越えて成長していく姿が切々と描かれている。
ユース世代の共同作業
「なら国際映画祭 for YOUTH」の特徴は、ユース世代自身が映画を制作する点だ。2018年に始まったこの取り組みは、movie製作だけでなく、審査、運営まで行く。特別講師には映画監督の島田角栄氏が登壇し、参加者たちの制作の幅を広げる助けとなる。
また、地域との連携も重要な要素であり、地元奈良に根差した作品制作を通じて、地域の映画文化の復興にも寄与している。若者たちの新たな表現に期待が寄せられている。
チケット情報とイベント詳細
いずれのプログラムも興味深い内容がそろっており、非常に手頃な価格で鑑賞できる。チケットは1つのプログラムが1,000円であり、「地元割引」も準備されているため、奈良県在住の方は2本目が無料で鑑賞できる特典もある。特に子供たちが制作した『縁 en』の上映は誰でも無料で楽しむことができる。
また、9月22日には大阪・関西万博シグネチャーパビリオン「いのちのあかし」で特別上映も行われるが、こちらは万博の入場券が必要となるのでご注意を。コロナ禍を経て、人々が集まる機会が減少した中、こうしたイベントが充実しているのは喜ばしい限りだ。
映画祭に込められた思い
なら国際映画祭の理事長を務める河瀬直美監督は、次世代のクリエイターたちが新しい表現を追求し続ける姿勢に期待を寄せている。映画の力で地域を盛り上げ、未来の映画文化やアートの場を創出していくことが今回の映画祭の大きなテーマだ。
「なら国際映画祭 for YOUTH 2025」は、映画を通じて多様な価値観と感性を育てる素晴らしい機会であり、映画ファンにはたまらないイベントであることは間違いない。映画という芸術を通じて、未来のクリエイティブを支える力をぜひ感じ取ってほしい。