NECが提唱する国内コンテンツ事業の海外進出戦略とデータ活用の実態
NECが実施した最新の調査によれば、国内のコンテンツ(IP)事業者が直面している課題やデータ活用の実態が浮き彫りとなりました。この調査は、内閣府が掲げた「新たなクールジャパン戦略」に基づいて行われ、2033年までにIP産業の海外売上高を20兆円にする目標が設けられています。調査対象は、国内のIP事業者504名で、業務別にデータの重要性も考察されています。
調査結果によると、特にIP法務や資金調達に従事する立場からは、データの重要性が高く評価されており、約80%がその重要性を感じていることが分かりました。また、「とても重要」と回答した割合は45.8%にも達し、ビジネスの拡大にはデータ活用が不可欠であるとの認識が浮かび上がります。これに対し、制作などの直接的にIPに関与する立場の回答者では、「とても重要」と感じているのが32.3%にとどまり、ビジネス戦略を考えている現場とは意識に差があることも明らかになりました。
調査の主な課題とは
調査の結果、IP事業者が直面している主な課題としては、「新規顧客の獲得」、「国内市場の縮小・飽和」、そして「人材スキルの不足」が挙げられました。これに加えて、海外のIP市場に進出するためには「グローバル視点を持ったプロデューサーや経営人材の不足」と「制作費の高騰に見合ったビジネスモデルの構築の遅れ」が障壁となっています。
多くの事業者が将来的に注力したいと考えている戦略には「AI導入による業務効率化」、「メディアミックス展開」、そして「有益なデータ整備」が挙げられ、特にデータ整備に対する意識が高いことが伺えます。
データ活用の現状
一方、データ活用が難しいと感じている理由には「社内のデータ収集体制が整っていない」と「分析人材が不足している」ことが多く見られました。さらに、事業者が有益だと思うデータとしては「各国のIPの需要がわかるデータ」が約40%に達し、「人気度データ」が続いており、グローバルな市場分析が非常に重要であることが確認されました。
NECの今後の方針
NECはこの調査結果を基に、海外におけるIPビジネスの拡大を目指す事業者への支援を進めていく方針です。具体的には、Parrot Analytics社のDemand360をはじめ、新しい後方支援ソリューションを順次展開していく予定です。
Demand360は、世界中の市場や言語を対象にした分析プラットフォームであり、コンテンツの需要を数値化することで、企業がROIを高精度で把握する手助けを行います。このようなデータのパートナーシップは、メディア企業が今後の市場機会を捉え、競争優位を確立する鍵となります。
まとめ
今回の調査から、国内コンテンツ(IP)事業者の海外展開における課題や、データ活用の重要性が明確になりました。今後もNECは、事業者が国際的な舞台で成功を収めるために必要な情報と支援を提供していくことでしょう。日本のコンテンツ産業の活性化に向け、各事業者が持つポテンシャルを引き出すことが求められています。