成瀬あかりの朗読劇
2025-09-14 10:14:21

本屋大賞受賞作を朗読劇化!成瀬あかりの熱き青春を体感せよ

朗読劇『成瀬は天下を取りにいく』初日レポート



2025年9月13日から15日まで、草月ホールで上演された朗読劇『成瀬は天下を取りにいく』が、初日を迎えました。原作は宮島未奈の人気作品で、シリーズ累計150万部を突破した話題作です。朗読劇は、その作品の魅力を声だけで表現し、観客を情感の渦に巻き込む新たな試み。とりわけ、主人公・成瀬あかりの熱い青春を描いた演技に、観客は感動しました。

声優たちの熱演



特に印象的だったのは、成瀬あかり役を演じた岩田陽葵の演技です。一見常識を超えた行動をする成瀬ですが、岩田は彼女の内面にある孤独感や強い意思を巧みに表現しました。彼女の心の葛藤を引き出すような台詞回しは、観客の胸を打ち、成瀬の冒険へと誘います。特に印象に残ったのは、日常会話の中でさりげなく決意を示すセリフ。この自然体のトーンが、成瀬の本質を浮き彫りにしていました。

一方、成瀬を支える友人役の島崎みゆきを演じた紡木吏佐は、独特のバランス感覚を持った演技を見せました。彼女は、成瀬の突飛な行動に対する驚きを抱きつつも、それを受け入れていく姿を描写。声の柔らかさと親しみやすさが、島崎というキャラクターに生命を与え、観客が心地よく感じられるように作用しました。二人のキャラクター間の掛け合いは、漫才のような軽快さがありつつも、感動を与える重要な要素でもありました。

キャラクターの多面性



また、梅田修一朗が演じる西浦航一郎は、「普通」の側面から成瀬を見守るキャラクター。彼は成瀬の影響を受けながら成長していく過程を繊細に描写しました。成瀬の豪快さとは対照的な彼の控えめな反応が、物語にリアリティを加えています。彼のセリフには、感情の揺れ動きがあり、聞く者を惹きつける力がありました。

このように、岩田、紡木、梅田の三人が織りなす声のハーモニーは、脚本家土城温美の意図を見事に具現化しています。各役者が持つ個性が躍動し、朗読劇ならではの生々しさが加わることで、観客はその世界に引き込まれるのです。

演出の妙



演出を手掛けたのは野坂実。彼の演出スタイルは、シンプルな空間演出に深い人間ドラマを描く手法が特徴です。今回の朗読劇では、「声だけで世界を立ち上げる」特性を活かすため、セリフの間や呼吸のタイミングに特に配慮されました。それによって、観客は高校生たちの等身大の青春を直に体感することができたのです。

さらに、朗読劇のために特別に書き下ろされたオリジナル音楽も見逃せません。シーンごとに雰囲気を巧みに彩るこの音楽は、舞台全体の一体感を生むための背骨となっていました。特に成瀬のキャラクターを引き立てつつも、静かな温かさを感じさせる音楽は、声と一体になって観客の心に残ります。

観客の反響



終演後のアフタートークでは、岩田、紡木、梅田が公演について語り、出演者同士の信頼関係が見えました。観客からの大きな拍手が、彼らの挑戦が成功した証であり、誠実にその役に向き合った姿勢に、観客はさらに感情移入したことでしょう。彼らは、日替わりキャストによる違った解釈が観客に新たな発見をもたらすことを強調し、この舞台が単なる朗読劇を超えて、参加者の心を豊かにするものになったと感じたと言います。

今回の『成瀬は天下を取りにいく』は、声の力で青春を表現した見事な朗読劇でした。観客に勇気を与え、感動を呼び起こしたこの作品は、見る者の心に深く刻まれることでしょう。その熱量が、終演後の劇場ロビーに「勇気をもらった顔」としてあふれる様子は、まさに作品の成功を物語っていました。


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