ひきこもりVOICE STATION全国キャラバンとは
先日、神奈川県横浜市で始まった「ひきこもりVOICE STATION全国キャラバン」は、演出家の宮本亞門さんがクリエイティブプロデューサーを務める画期的なイベントです。自らもひきこもりの経験を持つ宮本さんは、ひきこもりに対する理解を深め、社会の中での「多様性」や「共生」について語ります。このキャラバンは、今後11月8日まで、神奈川や高知、秋田、新潟、奈良、大分など全国6県で開催される予定です。
ユニークなワークショップ
このイベントの特徴的なプログラムの一つが「人生ドラマグラフワークショップ」です。参加者は、自身の過去における心の変遷をグラフ形式で視覚化し、自分の感情や経験、そして社会との関係を深く掘り下げる機会を得ます。宮本さん自らがファシリテーターとして、参加者の人生ドラマグラフを引き出し、彼らのストーリーについて対話を重ねました。
宮本亞門の自身の経験
宮本さんは、実家が新橋演舞場前の喫茶店にあり、幼い頃から様々な芸術に触れる環境で育ちましたが、その中で孤独感も抱えたようです。同級生との距離感から心のブレーキがかかり、高校入学後には自室に閉じこもる日々を送りました。その苦悩を経て、彼は精神科医との出会いを通じて自らの心に向き合い、新たな一歩を踏み出し、舞台経験を積んでいきました。
参加者の体験
ワークショップでは、他の参加者もそれぞれの「人生ドラマグラフ」を紹介しました。ある人は高校卒業後に長期間ひきこもり、また別の人はうつ病を抱えながらも自分の好きなことを通じて自律に向かう道を見出した体験を語ります。これらの発表を通じて、参加者同士のつながりが生まれ、互いの体験が如実になっていく様子が印象的でした。
ロードマップを共に描く
宮本さんは「誰もが持つ異なるドラマが人生にはある」と話し、参加者に向けて「自らを封印せず、多様な自己を受け入れてほしい」とメッセージを送りました。このワークショップは、単に理解を深めるだけでなく、個人が自分自身の問題にどう向き合い、解決していくかを考える貴重な機会でもありました。
パネルディスカッションの重要性
さらにイベントの中では、「自立?自律?生きやすい社会はどっちか」をテーマにしたパネルディスカッションが行われました。支援者や当事者が「自立」についての従来の概念を問い直し、より大切な「自律」について議論を深めました。これにより、参加者たちは自分自身を大切にしながら社会との関係を築く重要性にも気づかされました。
まとめ
「ひきこもりVOICE STATION全国キャラバン」は、ひきこもりに対する社会の理解を促進し、多様性を認めるために活動を続けています。今後も各会場で行われる催しを通じて、ひきこもり問題に対する意識を広め、「地域」を中心にした実践的な支援策の構築を目指すこの活動が、より多くの人々に届くことを願っています。