小泉八雲の怪談が新たな命を吹き込まれる
この度、山陰中央テレビジョン放送(TSK)と株式会社ディー・エル・イー(DLE)が手を組み、小泉八雲の名作『怪談』をテーマにしたショートアニメを制作することが発表されました。アニメタイトルは「小泉八雲のKWAIDAN(怪談の世界)」で、八雲の作品の中から厳選した13話がミニ番組として放送されます。
小泉八雲は明治時代に活躍した文豪で、アイルランド系の父とギリシャ出身の母を持ち、古事記に影響を受けて来日しました。彼の作品には日本に伝わる怪異や奇譚が豊富に描かれており、特に島根県松江市との関わりは深いものがあります。初回放送の第一話は「耳なし芳一」で、松江を舞台にした他のエピソードも予定されています。具体的には「飴を買う女」「月照寺の大亀」「松江城の怪異」「小豆とぎ橋」などがラインナップ!
AI技術で革新された制作プロセス
DLEはこれまでも多くのアニメを手がけてきましたが、新スタジオ「OBETA AI STUDIO」を設立し、今年からAI技術の導入に挑戦しています。この取り組みによって、従来の手法では実現が難しかった大量の高品質コンテンツを迅速に制作することが可能に。DLEの社長である小野亮氏は、かつて島根に在住していた経験を活かし、本作が地上波の第一弾となるのです。
制作には、AIならではの「怖さ」と「映像美」を楽しめるよう工夫がされています。具体的には、同じシナリオをもとに、アニメーションの美学を活かした「アニメルック版」と、リアリズムを重視した「実写ルック版」の2種類がそれぞれ制作され、視聴者に異なる体験を提供します。
豪華な制作陣とキャスト
作品の監督は「秘密結社 鷹の爪」などで知られるFROGMAN氏が自ら担当。さらに、番組のナビゲーションキャラクター「紺霞」のデザインは、松江市出身の漫画家・いずみせらが手がけます。声優陣も豪華で、松江観光大使でもある茶風林氏や、伊藤美紀氏など、実力派声優が参加し、物語に深みを与えています。
地元松江と小泉八雲の再評価
今年は八雲の妻、小泉セツを主題としたNHKの連続テレビ小説「ばけばけ」が秋から放送予定であり、松江市および小泉八雲に再び注目が集まっています。地域振興を目的とするTSKでは、地元松江の盛り上がりに寄与しつつ、八雲の作品に触れる絶好の機会となります。
最新のAI技術による映像表現がどのように八雲の怪談を新たに生み出すのか、多くの人々に楽しんでもらえることを期待しています。放送は2025年10月2日から毎週木曜日にアニメルック版、10月3日から毎週金曜日に実写ルック版がスタートします。ぜひお楽しみに!