志萱大輔監督の初長編映画『猫を放つ』が釜山映画祭で華々しくデビュー
2023年9月26日、釜山国際映画祭(BIFF)の閉幕に在り、新たに選ばれたメイン・コンペティションの場で志萱大輔監督の初の長編作品『猫を放つ』(英題:Leave the Cat Alone)がワールドプレミアを飾りました。この瞬間は、志萱監督にとって、2020年度に参加した若手映画作家育成プロジェクト「ndjc」からの大きな飛躍を象徴するものとなります。
この映画は、2018年に志萱監督が自主制作としてスタートし、実に7年にわたる歳月をかけて完成を見ました。釜山国際映画祭は、30周年を迎え、アジア映画に新たな視点を提供するために、既存の部門を融合させた新たなコンペティションを設置。この新しい舞台で、作品は注目を集め、さらなる成長を続ける釜山国際映画祭の重要な一部となったのです。
志萱監督にとって、同映画祭での再選は、前作『窓たち』に続くもので、今回の出品によって、映画制作における彼のキャリアが確かなものとして評価されつつあることがわかります。『猫を放つ』は2026年の公開予定で、観客と共にその瞬間を楽しみに待つ時を迎えています。
監督の想い
志萱監督は、作品が釜山国際映画祭で上映される際に、まず感謝の言葉を述べ、「映画に見られる場を与えていただけたこと」に大変感謝しているとコメントしました。その長い制作期間を経た中での思いや苦労は、全てが正解であり、同時に間違いでもあるという彼自身の経験を反映しています。観客とのQ&Aセッションを通じて、自らの作品を再認識し、新たなインスピレーションを受けたと語ります。
「日本で、そして母語で『猫を放つ』を観た時の喜びを心待ちにしています」と語る志萱監督。その期待は観客にも伝わり、公開に向けた熱が高まります。
映画のストーリー
『猫を放つ』は、主人公モリとその妻マイコの物語が軸となります。しかし、モリは妻との距離を埋められず、日常の中で彼自身を問い直すことになります。ある日、かつての友人・アサコとの偶然の再会が、彼にとって忘れかけていた愛情の再燃を引き起こし、二人はお互いの過去に思いを巡らせます。
再会の中で、モリは自分の内なる欲望に気づき、アサコもまた彼女自身の思いを再確認します。しかし、彼らの間には誤解やすれ違いが重なり、かつての鮮明な記憶はぼやけていくのです。多くの人々が経験する、思い出と現実の歪みを描き出すこの作品は、観る者に深い共感を呼び起こします。
監督について
志萱大輔監督は、1994年に神奈川県で生まれ、東京の日本大学芸術学部を卒業しました。卒業制作の短編映画『春みたいだ』が各種映画祭で入選し、2020年にはndjcに選ばれ短編『窓たち』が釜山国際映画祭で上映されました。初の長編映画である『猫を放つ』では、独自の視点と感受性を交えた映像表現が期待されています。
まとめ
釜山国際映画祭において、志萱大輔監督の『猫を放つ』の上映は、大きな注目を集め、今後の映画界にふさわしい作品として位置づけられることでしょう。志萱監督がさらに成長し、多くの感動を与えてくれることが期待されるこの作品、公開の日までの期待感は膨らむばかりです。