伍代夏子氏が珠洲市を訪問し、ペットと同室避難の重要性を強調

災害時のペットとの同室避難推進

　2023年10月25日、歌手の伍代夏子氏が約1年ぶりに石川県珠洲市を訪れました。この訪問は、「りく・なつ同室避難推進プロジェクト」の一環で、災害時にペットと飼い主が同じ室内に避難できる社会を目指して行われています。プロジェクトは、備えや意識啓発を通じて、震災や災害時のペットとの共生を具体的にサポートすることを目的としています。

　この日は、特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパンの橋本笙子氏から、2026年の能登半島地震被災者支援の現状についての説明を受けました。その後、復興が進む地域を視察し、住民から現在の生活や新たな問題について意見を伺いました。

　珠洲市は過去の震災からの復興が少しずつ進んでいますが、依然として解体作業が続き、子供たちの遊び場が減少しているという新たな課題も浮上しています。以前の訪問では被害にあった家屋がそのまま残っていましたが、現在では解体が進み、復興の兆しが見えています。しかし、工事作業が行われることで子供たちの安全が脅かされるといった懸念も新たに生じています。

　ある住民の矢野さんは、ペットと共に避難所に避難した経験をシェアしました。「ペット受け入れ可の避難所でも、周囲を気にしてストレスを感じ、体調を崩してしまったため、結局自宅に戻った」と述べ、問題の複雑さを物語りました。

　また、ペットと一緒に避難できる場所が都合よく整っていないため、自宅での生活を続けることが選択されたといいます。特に、行政の決まりの中では、どうしても支援が届かない人々がいることも事実です。加えて、ペットの病院受診が厳しい現状も示されており、病気の蔓延や野良化の問題が浮き彫りになりました。

　今回の訪問を通じて、伍代夏子氏は、ペットと共に避難することの重要性を訴えるだけでなく、ペットの健康維持や安全を確保するための環境づくりへの意識も深めることを目指しています。

　「りく・なつ同室避難推進プロジェクト」は、日本全国で多くの家庭がペットを家族として大切に思っていることから、飼い主の意識を向上させる活動を行っています。災害時の備えのみならず、同室避難の意義を広めることが急務とされています。今後も定期的な活動を通じて、飼い主への情況の報告や発信を続け、彼らに責任ある行動を促していく必要があります。

　今年の訪問がきっかけとなり、地域の人々が安心してペットとの共生を図れるような環境が整っていくことを願ってやみません。