日本居住者向け海外スポーツベッティング市場の拡大と課題

一般財団法人スポーツエコシステム推進協議会が行った調査によると、日本居住者向けに運営されている海外のスポーツベッティングサイトの市場は、2024年には6兆円を超える規模に成長するとみられています。この市場の拡大を受けて、昨年、オンラインカジノによる賭博事件での摘発者数は前年の約2.6倍に達し、日本における賭博の実態が注目されています。

調査の背景

近年、日本に住む人たちが海外のオンラインカジノサイトにアクセスする機会が増えており、これは社会問題として取り上げられることが多くなっています。昨年の警察庁による調査では、オンラインカジノの利用経験者が約337万人であるとする推計が出され、年間の賭け金総額は1.2兆円を超えるとされています。また、多くの利用者が「違法性を認識していなかった」と回答している点も、この問題を複雑化させています。

調査対象となるオンラインカジノには、違法なスポーツベッティングも含まれており、特に日本のプロスポーツが賭けの対象として扱われることが多いといえます。さらに、多数のスポーツ選手がこれらのサイトを利用していたことが明らかになり、各スポーツ団体は対応に追われています。

市場の拡大

調査結果によると、2024年のつもりで推計される日本違法越境市場の年間賭け金総額は6.5兆円に達し、そのうち日本のスポーツが対象となる賭け金は約1兆円と見込まれています。これは、スポーツくじの年間賭け金総額が約1,336億円であることを考えると、違法市場は非常に大きな規模を持つことを示しています。

また、フリーライド市場と呼ばれる、日本のスポーツデータや映像が無断使用される問題も深刻化しています。フリーライド市場の年間賭け金は約4.9兆円に上るとされ、その大部分が日本のサッカーの試合に賭けられていることが確認されています。

権利侵害の実態

調査の中では、日本からアクセス可能な海外スポーツベッティングサイトにおいて、著作権や肖像権を侵害する可能性のあるサービスが提供されている事例もありました。例えば、日本のプロスポーツの試合映像をライブ配信しながら、同時に賭けを行えるサービスや、試合のロゴを無断で使用しているケースなどが見つかっています。これにより、選手たちが違法サービスを勧めているかのように誤った印象を与えるリスクも涵養されています。

アフィリエイト広告の問題

さらに、本調査ではアフィリエイト広告の増加も指摘されており、多くのアフィリエイターがブログやSNSを通じて日本居住者向けの海外スポーツベッティングサイトを宣伝しています。彼らはユーザーの賭け金の一定割合を報酬として得る仕組みがあり、この市場の利益を享受しています。これにより、アフィリエイト広告が急増する一因となっていると考えられます。

今後の方針

当協議会は日本違法越境市場とフリーライド市場の現状を踏まえ、選手を保護するための情報発信や法律専門家との協議を進めています。現在、日本では違法スポーツ賭博や権利侵害に対する対策が後れを取っている状況にあり、欧州の先進的な取り組みを手本に、国内でも効果的な対策を模索していかねばなりません。

このような市場の急成長とそれに伴うさまざまな問題に対し、協議会は今後も情報収集や調査を継続し、関係機関と連携して適切な対策を講じていく方針です。