ドイツ人演出家が贈るギリシャ喜劇『平和』日本初上演
2025年10月17日から19日にかけて、東京のシアターΧ(シアターカイ)でギリシャ喜劇『平和』が上演される。この作品は、2500年前の古代ギリシャの喜劇作家アリストファネスの原作を基にしたもので、旧東ドイツの劇作家ペーター・ハックスが翻案を手がけた。ドイツ人演出家ペーター・ゲスナーが演出を担当し、彼自身の経験と歴史を反映させた舞台となる。
2500年前の笑いが現代へ
戦後80年を迎えた現代日本に、過去の笑いと風刺がどのように響くのか。本作におけるストーリーの中心は、商売が立ち行かず怒り心頭の農家トリュガイオスが、平和の女神を天界から助け出そうと奮闘する様子に焦点が当たる。戦争によって平和が奪われた中で、彼がどのようにして女神を救出するのか、そのプロセスは観客を笑わせつつ深く考えさせる力を持っている。
当時の政治状況や社会の不条理を風刺するこの喜劇は、2400年以上の時を超え現代に通じるメッセージを持っている。ゲスナーは「『平和』は考えるきっかけを与える作品である」と語り、そこには普遍的な価値が存在すると強調している。
合作の背景と意義
『平和』の日本初上演の後、作品はベトナム国際実験演劇祭にも正式に招聘される予定だ。戦災を体験した両国が持つ平和への願いを共有する舞台として、国境を越えた表現がなされる。うずめ劇場は、社会的問題に向き合い、現代に生きる我々の現実を鋭く映し出す作品に挑戦している。
最近では『ニッポン人は亡命する。』という作品で表現の自由や教育の現実に光を当て、話題を呼んだうずめ劇場が、この新作でも新たな刺激を届けることへ期待が高まる。演技を通して、過去と現在の社会的問題の関連性を探求するまたとない機会が待っている。
見どころと参加キャスト
本作の見どころは、仮面劇ならではの多役を演じる演技や、オリジナルの生演奏による音楽にある。中高生も楽しめるとされるテンポの良い構成で、観客は笑いとともに深いテーマに引き込まれる。キャストには、イギリス在住のユーチューバー「みっつん」や、落語家の「林家きく麿」、そして政治風刺に定評のある芸人「松下アキラ」など、多彩な顔ぶれが並ぶ。
初日から観客との対話を促すアフタートークも予定されており、作品を通じて普遍的なテーマについて議論できる貴重な機会となること間違いなしだ。
チケット情報とアクセス
チケットはカンフェティにて販売中。一般5,000円、学生3,000円、中高生1,000円、小学生500円という幅広い価格設定で、すべての世代が楽しめる内容になっている。さらに、カンフェティ会員になることで割引を受けることもできるので、興味のある方はぜひ早めにチェックしてほしい。
会場となるシアターΧは、東京都墨田区両国に位置し、アクセスも良好。また、上演は110分を予定しているため、軽食を持参しながら観るのも楽しいかもしれない。
国境を越えて語りかけるメッセージと、2500年を超える笑いが魅力の『平和』。ぜひ、この機会に観劇して、時代を超えたテーマに触れられる体験をしてほしい。