野球を通して未来を切り開く「Smokey Mountain Baseball Project」
2025年5月23日から25日にかけて、フィリピンのRizal Memorial Baseball Stadiumで開催された「Smokey Mountain Baseball Project(SMBP)」は、社会における不平等と格差を野球を通じて克服しようとする、感動的な取り組みです。一般社団法人NB.ACADEMYによって運営されており、スラム街で育つ子どもたちに向けた奨学金の獲得支援がメインの目的となっています。
このプロジェクトは、2012年から日本プロ野球名球会や日本人ボランティアによる定期的な野球教室を行ってきました。今年で14年目を迎えるこのプログラムには、元プロ野球選手で名球会の一員である小笠原道大氏も参加し、子どもたちに向けて技術指導やメンタル面でのサポートを行っています。こうした活動は、単なるスポーツの指導に留まらず、子どもたちに自信や夢を与え、進学の機会を提供することを目指しています。
フィリピンの首都マニラに位置するスモーキーマウンテン地域は、貧困と犯罪が蔓延する厳しい環境です。多くの子どもたちは学校に通うことなく、早い段階から家計を助けるため働かざるを得ません。このような中で、SMBPは野球を通じてスポーツを学ぶことができ、さらには奨学金を得て大学に進学することを可能にしています。
2025年1月の時点で、112人の卒業生が奨学金を獲得し、高校や大学へ進学することに成功しました。彼らの成功は、同じくスラム街で育つ多くの子どもたちに夢や希望をもたらしています。参加したボランティアは、40名以上。中には、YouTubeで人気の旅系YouTuberマンペー氏も名を連ねています。こうした有名人や企業の協賛も、プロジェクトの大きな力となっています。
最近では、全日本空輸やミズノ、三井住友銀行など、10以上の企業が支援を行い、SNS上での発信も拡大中です。企業の協力を得ることで、イベントの運営がスムーズに進むだけでなく、参加した子どもたちやボランティア同士の交流も深まることが期待されています。
プロジェクト発足当初は、JCI東京とJCIマニラが主催し、閉鎖的なボランティア活動としてスタートしました。しかし、コロナ禍を経て新しい体制となり、2023年からは誰でも参加できるオープンな形に移行しました。この変革が、活動の持続可能性を高める結果につながっています。
SBMPは、今後も地域社会の発展と子どもたちの未来を応援するため、協賛企業やパートナーとの連携を深め、地域における教育機会の拡充を進めていく計画です。また、2024年には「アジア甲子園大会」として、新たな挑戦に向けての準備も進めています。これに参加することで、フィリピンの子どもたちも国際的な舞台での競技機会を得ることができます。
このプロジェクトの真の意義は、子どもたちが自分の夢を追いかけ、その夢を実現する手助けをすることにあります。「子どもたちのために」は、すべての活動の根底となる信念であり、この思いを共にするパートナーを常に募集しています。
未来に光をもたらす「Smokey Mountain Baseball Project」は、野球だけでなく、無限の可能性を秘めています。未来のリーダーや夢を抱く子どもたちが、このプロジェクトを通じて成長し続ける姿を、多くの人々と共に見守っていきましょう。