仙巌園での新たな散策体験、近距離モビリティ「ウィル」の導入
2025年10月1日、鹿児島の世界文化遺産である仙巌園において、近距離モビリティ「ウィル」の導入が始まります。この革新的な移動手段は、株式会社島津興業と鹿児島トヨタ自動車が提携し、WHILL社によって開発されたものです。特に注目すべきは、このサービスが世界文化遺産として初めて導入される点です。
「ウィル」は免許なしで利用でき、歩行領域を走行することができるモビリティです。これにより、伝統的な景観が残る仙巌園内でも誰でも気軽にアクセスできる環境が整います。日本の文化と自然を感じながら、快適な散策を楽しむことができる新しい体験が提供されるのです。
近年の旅行トレンドと多様化するニーズ
コロナ禍を経て、国内旅行は再び活発化しており、2024年には訪日外国人の旅行消費が過去最高の8.1兆円に達する見込みです。このような背景の中、特に世界的な高齢化や多様なニーズに応えるため、合理的な配慮が求められる時代になっています。この流れを受け、仙巌園では新たな設備として「ウィル」を導入し、より多くの人々が快適に施設を楽しめるように環境を整えています。
仙巌園は約5万㎡の広大な敷地を持ち、歴史的な建物や美しい風景を備えています。今回の「ウィル」の導入は、すべての年代の方々が気軽に訪れ、楽しむ機会を提供することを目的としています。また、園内には従来からの景観を保護しつつ、新たなアクティビティを加える取り組みも進められています。
「ウィル」の性質と機能
今回導入される「ウィル」には、2つのモデルがあります。ひとつは、「WHILL Model C2」と呼ばれるプレミアムなチェア型。高いデザイン性と共に、5cmの段差を越えられる走破力を持っています。もうひとつは、「WHILL Model R」というスクーター型モデルで、車や自転車と同じ操作感で移動できるのが特徴です。どちらのモデルも、仙巌園の美しい風景と自然にしっかりと調和したデザインが施されています。
利用料金は、大人が1,600円、小中学校・高校生は800円の入場料に加え、「ウィル」の利用は2,000円で終日利用可能です。受付時間は9時から17時までで、最終受付は16時30分となっています。利用方法は、園入口での貸出・返却となり、事前予約は受け付けていません。また、利用には体重制限や注意力が求められ、原則として同伴者の随行が必要です。
未来へ向けたアクセシビリティの確立
環境整備の動きが進む現在、仙巌園はその先端を行っています。特に、バリアフリーマップに基づいた走行可能エリアを設けることで、すべての人がアクセスできるように配慮されています。この取り組みを通じて、仙巌園を訪れる多くの方々に、充実した滞在体験を提供しています。
仙巌園が目指すのは、通常の観光地とは一線を画す体験です。ウィルを使って素晴らしい庭園をゆっくりと巡ることで、参加者は日本文化の深い理解を得ることができるでしょう。歴史的な背景や美しい景観を楽しみながら、新しい技術を体感できる場となることを期待しています。
企業の取り組みも紹介
「ウィル」の導入にあたっては、株式会社島津興業と鹿児島トヨタ自動車がそれぞれの専門性を活かし、共に連携し進めてきたことも特筆すべき点です。両社は、「モビリティを通してお客様や社会のお役に立つこと」を基本理念に掲げ、地域づくりや文化の発展に寄与する企業としても知られています。
WHILL社は、「すべての人の移動を楽しくスマートにする」というミッションを前面に推進し、近距離移動のプロダクトとサービスを世界で展開しています。これにより、バリアフリーの理念を踏まえた環境構築への貢献も期待されます。
まとめ
新たなモビリティ「ウィル」の導入は、仙巌園を訪れるすべての人々に新しい体験をもたらすでしょう。高齢者や障がい者を含む全ての人が、快適に散策できる環境が整備され、これまで以上に多くの人たちがこの歴史的な場所を楽しむことができるようになります。仙巌園は、ただの観光地ではなく、「皆がつながる場」として進化を続けていくことでしょう。