映像未来会議まとめ:世界の映画祭リーダーたちの知恵を共有
2024年11月に静岡県島田市で開催された「映像未来会議」では、アジア最大級の国際短編映画祭、ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(SSFF & ASIA)が中心となり、世界中の映画祭のリーダーたちが集結しました。このイベントは日本の豊かな文化資源を国内外に発信し、理解や共感を深めることを目的としています。
参加者には、バリ国際短編映画祭のフランシスカ・プリハディ、リオデジャネイロ国際短編映画祭のアイルトン・フランコ・ジュニア、ショウ ミー ショーツ映画祭のマーク・プレブル、タンペレ短編映画祭のユッカ=ペッカ・ラークソ、山形国際ドキュメンタリー映画祭の藤岡朝子の5名が名を連ねました。彼らは地域の観光事業を推進する映画祭の役割や、映像制作、視聴体験の最新技術について多角的に意見を交わしました。
映画祭の持続可能な取り組み
カンファレンスでは、各映画祭リーダーが持続可能性について議論しました。ショウ ミー ショーツのマーク・プレブル氏は、映画祭が複数の会場を持つことによる移動の問題を指摘し、最近南島に専任スタッフを配置し、運営の効率化を図っていると説明しました。タンペレ映画祭のユッカ=ペッカ・ラークソ氏は冗談交じりに映画祭の開催をやめることが持続可能性の一手だと言い、現代技術を活用することで運営の環境負荷を下げる方法を提案しました。
リオデジャネイロ国際短編映画祭のアイルトン・フランコ・ジュニア氏は、環境問題だけでなく映画祭の存続の重要性も強調しました。ミニキノ フィルム ウィークのフランシスカ・プリハディ氏は、地域の業者と協力してエコ商品を制作する取り組みを紹介し、一般の人々に持続可能性の重要性を広めていると話しました。藤岡朝子氏は、多くの小規模映画祭が観客との距離を縮めることの重要性に触れ、持続可能性に対する意識を育てる活動が必要だと述べました。
デジタルトランスフォーメーションの進展
次に、映画祭のデジタルトランスフォーメーションについての議論が行われました。参加者はQRコードを利用した観客投票、電子チケット、ポスターやカタログのデジタル化など、多くの変革を紹介しました。しかし、ユッカ=ペッカ・ラークソ氏は新技術の管理が課題であると指摘し、全ての人にとって便利であるとは限らないと述べ、自らスマートフォンを使わない若者の存在を例に挙げました。
このように、各映画祭は技術の進化をただ受け入れるのではなく、どのように活用していくかが重要だと強調しました。
生成AIとその影響
続いて、生成AIによる映画制作の可能性についても触れられました。プレブル氏は優れたAI生成の作品には出会ったことがなく、映画自体が何を伝えるのかが重要だと言及しました。ユッカ=ペッカ・ラークソ氏も、AIの利用は新たな表現方法を持つことが必要であり、倫理的な問題も考慮すべきだと主張しました。
映画祭の未来を描く
最後に、映画祭の未来についても議論が交わされ、ストリーミング時代でも映画祭の役割は消えないとの見解が示されました。ユッカ=ペッカ・ラークソ氏は、ラジオやテレビ、DVDの登場が映画館を消すことはなかったと述べ、新たな映画体験の創造が進んでいると期待感を表明しました。フランシスカ氏は、映画の未来への希望を持ち続ける作品づくりの重要性を強調しました。
このように、映像未来会議を通じて、さまざまな視点から映画祭の今後について貴重な意見が交わされました。カンファレンスの詳細はSSFF & ASIAのYouTubeチャンネルでアーカイブ映像が公開されていますので、ぜひご覧ください。
カンファレンスアーカイブビデオはこちら
ショートショート フィルムフェスティバル & アジアについて
ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(SSFF & ASIA)は、1999年に始まったこの国際短編映画祭は、国内外の若き才能たちを応援し続けています。21世紀に入り、米国アカデミー賞公認の映画祭としても知られるようになりました。短編映画を通じて、新たな映像文化の醸成とクリエイターの育成を続けています。未来の映画業界を担う新しい才能の誕生を見守りましょう。