日本ポップス史を辿る旅
2023年11月10日、NHK出版から『日本ポップス史1966-2023あの音楽家の何がすごかったのか』が出版されます。この書籍は、日本の音楽業界において重要な役割を果たした音楽家たちの足跡を明らかにし、彼らが何を成し遂げてきたのか、そして現在の音楽シーンにどのように影響を与えているのかを探求するものです。
著者のスージー鈴木は、音楽評論家としての豊富な知識と鋭い観察眼を持っており、音楽家たちの業績を喜びと敬意をもって描写しています。この本は、64年から始まった日本音楽の豊かな歴史を2つの視点から捉え直す試みで、まずは「あの時代のあの音楽家が何を成し遂げたのか」という問いかけから、次第に「あの時代にいちばんすごかった音楽家は誰なのか」へと進化します。
1966年から1979年:フォークとロックの夜明け
書籍の序章では、1972年の吉田拓郎がいかに日本の音楽シーンに影響を与えたかを紹介。続く第1章では、1966年から1979年の間に登場した多様なアーティストたち—かまやつひろし、加藤和彦、細野晴臣、矢沢永吉など—の功績が詳述されており、彼らの音楽がどのように日本のロックやフォークを形成したのかが分かります。
特に、1972年に登場した矢沢永吉やジョニー大倉、財津和夫などは、今もなお日本の音楽シーンの重要なピースであり、その時代特有の文化がどのように彼らの音楽に反映されているかを追体験できる内容となっています。
1980年から1994年:新たな波
第2章は1980年代から1994年にかけての音楽家たちに焦点を当てます。この時期には、佐野元春、忌野清志郎、大滝詠一などの革新的なアーティストが登場し、音楽スタイルや表現方法に新たな風を吹き込みました。特に、小室哲哉や小沢健二といったアーティストの活躍が、90年代の音楽シーンに与えた影響は計り知れません。
2016年から2023年:新たな世代の台頭
第3章では、2016年以降の音楽家たち、宇多田ヒカルや米津玄師、そして2023年に注目されるVaundyなどの存在がクローズアップされます。これら新世代の音楽家たちが、どのように音楽シーンを再構築し、新たなファン層を開拓しているのかを描写しており、今後の音楽シーンの展望をはっきりと示しています。
終章:音楽の系譜と未来
この書籍の終わりには、著者自身の考察が述べられており、これまでの音楽の流れが今後どう続いていくか、次世代の音楽家たちがどのようにこれまでの成果を受け継いでいくのかについての示唆があります。スージー鈴木の考察は、単なる音楽史の整理にとどまらず、音楽が持つ力、特に大衆との結びつきがいかに重要であるかということを教えてくれます。
まとめ
『日本ポップス史1966-2023あの音楽家の何がすごかったのか』は、音楽好きだけでなく、これから音楽を学ぶ人々にとっても非常に価値のある内容です。日本の音楽史という重要なテーマを、分かりやすく、かつ興味深い形で伝えているこの本は、必見の一冊と言えるでしょう。もっと多くの人に手に取ってもらいたい、心に響く作品です。