『ペリカン・ブルー』が映し出すハンガリーの若者たちの葛藤
2023年、注目のドキュメンタリーアニメーション映画『ペリカン・ブルー(原題:Kék Pelikan)』が、国内の配給権を株式会社マーチが取得することとなりました。この作品は、1990年代に実際に起こった事件を背景に描かれており、アニメーションを用いることで出所不明の個人情報を守りながら、リアルな社会問題に深く切り込んでいます。
この映画の制作に際して、アリ・フォルマン監督の『戦場でワルツを』や、ジョナス・ポヘール・ラスムセンの『FLEE フリー』に見られる、戦争体験や個人の記憶を独自の視点で表現する手法が取り入れられています。『ペリカン・ブルー』でも、社会の分断や若者たちの葛藤がテーマにされており、現代にも通じる深いメッセージを観客に発信しています。
今年3月に行われた「第3回 新潟国際アニメーション映画祭」での上映時、観客はこの映画のスリリングな展開と青春の瑞々しさに心を打たれ、最後には感動の余韻に浸ったといいます。そのユニークな語り口は、多くの視聴者を惹きつけ、映画ファンの間でも大きな話題を呼びました。
本作のあらすじは、1990年代のハンガリーを舞台にしています。西ヨーロッパへの扉が開くものの、国際列車の切符が高額なため、海外旅行は夢のまた夢。この時、3人の若者—アコス、ペーチャ、ラチ—は、ペリカン製のブルーカーボン紙を用いて切符を偽造し、仲間に「外の世界」の旅の機会をもたらそうと決心します。しかし、彼らの行動は次第に注目を集め、プロの偽造師として知られるようになる一方で、警察の捜査が進行し、自由に代償が伴う現実を痛感することになるのです。
また、マーチは、本作に続き、同映画祭で上映された韓国のアニメーション映画『口蹄疫から生きのびた豚(原題)』の国内配給権も獲得しています。これからも世界中の魅力的な映像コンテンツを通じて、日本における国際アニメーション映画の地位向上に向けて共同努力していくことでしょう。
最後に、本作の邦題や公開日などの詳細に関する発表を楽しみにしているファンも多いことでしょう。マーチは映画の配給・宣伝にとどまらず、アジア映画、洋画、邦画を問わず、様々な作品の魅力を日本の観客に届けることを目指しています。今後も新しいコンテンツの発見と、日本市場での更なる発展に貢献することを期待したいですね。