VRによる心の支援
2025-07-07 14:50:28

VRが開く新しい心の支援の扉—若者の心理的変化の新アプローチ

VRによる新しい支援の形



横浜市立大学のCOI-NEXT拠点、Minds1020Labは、精神疾患を抱える若者を対象にした新しい研究成果を発表しました。この研究は、仮想現実(VR)技術を用いて行われ、心の内を匿名で語ることで、参加者の心理状態に与える影響を探りました。これにより、従来の対面での支援が難しい若者に対して、新たな心理的サポートを提供することが期待されています。

研究の背景



NHIが制作したドキュメンタリー番組「プロジェクトエイリアン」は、参加者がエイリアンのアバターを使って匿名対話を行う先進的なプラットフォームです。このプロジェクトには、精神疾患を持つ10代の若者が参加し、その心理的変化がどのように進行するかを観察しました。研究に参加したのは、3名の若者で、VR体験を通じて彼らの孤独感、抑うつ、対処行動の変化を調査しました。

研究の方法



研究は、3つの時点で実施されました。最初は番組参加登録時、次にVR体験前、最後にVR体験後です。これらの期間において、参加者は孤独感、レジリエンス(回復力)、抑うつ症状について自己評価を行いました。心理状態の変化は、各参加者の自由記述とともに、3つの自己記入式質問紙によって測定されました。

主要な結果



研究の結果、参加者全員がレジリエンスの向上や抑うつ症状の軽減といった心理的変化を示しました。特に、レジリエンスのスコアは全員で改善が見られ、抑うつ症状も減少しました。また、感情表現についても、都市部→宇宙船→月面という段階的シーンにおいて、自らの感情を豊かに表現できるようになったという結果が得られました。

参加者の声



番組内の参加者は、「同じような苦しみを持つ人がいることを知り、自分だけじゃないと気づけた」という感想や、「自分をもっと信じてみようと思う」との前向きな発言がありました。このように、VRを通して得た経験が、彼らの心にポジティブな影響を与えたことが示されています。

研究の意義



藤田純一医師は、この研究がVR技術を活用した新たな心理的治療の可能性を示唆していると述べています。匿名性が保たれる環境での対話が、特に精神疾患を持つ若者にとって、孤立感を和らげる手段となることが期待されています。今後はより多くの参加者に対してこのアプローチを適用し、さらなるデータを集める予定です。

今後の展望



本研究はあくまで予備的なケーススタディではありますが、将来的にはVRを通じた匿名対話がメンタルヘルス支援において重要な役割を果たす可能性があります。藤田氏は、プログラムの社会実装を目指し、若者が気軽に参加できる新しい支援の形を作ることを目指しています。VR技術を活用した取り組みが、心の支援の未来を切り開くことが期待されます。


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