日本の音楽シーンにおいて名声を誇る松任谷由実。彼女の原点を辿る小説が、待望の文庫化を果たします。この作品『すべてのことはメッセージ 小説ユーミン』は、著者・山内マリコによって、松任谷由実の少女時代からシンガーソングライターとしての成長過程までを描く、壮大なノンフィクション・ノベルです。
彼女は17歳で作曲家としてのキャリアをスタートさせ、今なお日本の女性ポップスターの第一線に立つ存在です。この小説では、松任谷が嵐のように通り抜けた思春期や、彼女の音楽に影響を与えた原風景を、作者の独自の視点で描き出しています。
「これはノンフィクションというより、ルポルタージュに近いかもしれない」と松任谷自身が述べたように、本作はただの伝記ではありません。山内の巧みな取材力とインタビューによって、松任谷の幼少期から青春の日々がリンクされ、まさに目を見張る感覚が注ぎ込まれています。
物語は八王子に生まれた由実ちゃんから始まり、彼女のピアノへの愛、清元の学び、さらにはミッション系女子校での輝かしい日々へと続きます。話の展開は版を重ねながら、60年代、70年代の東京カルチャーとの交わりや、彼女の個性がどのように育まれたのかを詳しく掘り下げていきます。
シリーズ編成された章は、八王子の裕福な呉服店の生活から、ピアノと清元の出会い、さらには立教女学院での経験など、ユーミンの音楽に影響を与えた多くのエピソードで構成されています。特に「セブンティーン!」や「ハロー、キャラメル・ママ」といった章では、彼女の成長の姿が生き生きと描かれ、読者を一気に引き込む力があります。
また、文庫化に際して酒井順子による解説も追加され、より深く、松任谷由実という存在を理解する手助けをしてくれます。彼女がどのようにして日本の音楽シーンのトップに君臨し続けているのか、その秘密を知ることができる貴重な機会です。
文庫本としての形式も手に取りやすくなり、432ページものボリュームを誇ります。これにより、読者は松任谷由実の魅力を存分に楽しむことができるでしょう。
この本を通じて、松任谷由実というアーティストの真の姿と、彼女の音楽が生まれた背景に触れることができます。日本の女性音楽界の先駆者であるユーミンの歩みを知り、彼女の音楽への愛情を再確認する一冊になるでしょう。
是非とも、11月6日の発売をお見逃しなく!