映画『ジュリーは沈黙したままで』の公開が決定!
ベルギーの新進気鋭の監督レオナルド・ヴァン・デイルによる映画『ジュリーは沈黙したままで』が、2025年10月3日に日本で公開されることが発表されました。本作は、2025年のアカデミー賞国際長編映画賞ベルギー代表選出をはじめ、2024年のカンヌ批評家週間でのプレミア上映も決まり、SACD賞を受賞するなど多くの注目を集めている作品です。
物語の背景
物語の主人公は、15歳の天才テニス選手ジュリー(テッサ・ヴァン・デン・ブルック)。彼女はベルギーのテニスクラブに所属し、才能と努力で奨学金を得てスポーツ界での成功が期待されています。しかし、彼女の信頼するコーチ、ジェレミー(ローラン・カロン)が突然指導停止となり、彼の教え子にあたるアリーヌが自ら命を絶つという衝撃的な事件が発生します。この事件を背景に、ジュリーの周囲には不穏な噂が広がり、彼女は困難な状況に追い込まれていきます。特に、ベルギー・テニス協会の選抜テストを控えるジュリーにとっては、ジェレミーに関する調査が大きな重荷となります。
ジュリーの沈黙の意味
ジュリーは、日々トレーニングを続けながらも、なぜかこの調査には沈黙を守ります。この沈黙は、彼女の心理や感情の深淵を表す重要な要素となっています。監督のヴァン・デイルは、特に“子どもが小さな大人として扱われる現実”に対する問題意識を強く持っており、子どもたちの心の内面に迫る作品として仕上げています。テニス界の大スター、大坂なおみも本作に共感し、エグゼクティブ・プロデューサーとして名を連ねていることも注目です。
監督とキャストの挑戦
本作では、ジュリー役を演じるテッサ・ヴァン・デン・ブルックが実生活でも若きテニス選手であり、そのリアルな競技描写が物語に深みを与えています。成長過程における彼女の葛藤や思春期の苦悩が、サーブの練習やケガのリハビリを通じて静かに浮かび上がってきます。また、登場するティーンエイジャーたちは全員ノンプロの俳優を起用しており、実際のクラブメンバーとともに自然な心理的距離が保たれています。
美しい映像と音楽
映像美にも注目で、35mmと65mmフィルムを用いて捉えられた美しい映像は、ニコラス・カラカトサニスの手によるもの。固定カメラの使い方や自然光の効果により、ジュリーの感情が際立った作品に仕上がっています。また、アメリカの現代クラシック作曲家キャロライン・ショウによる音楽が、物語に緊張感を与えています。
監督の声明
映画公開に際し、ヴァン・デイル監督は「ジュリーが沈黙する姿を見て、なぜ沈黙するのか耳を傾けてほしい」と期待を寄せています。この作品は、沈黙が持つ強い意味を探求するミステリーでもあり、観客自身がジュリーの物語に寄り添う試みを促しています。現代の情報過多な社会において、真の沈黙とは何かを考えさせられる作品です。
結び
映画『ジュリーは沈黙したままで』は、思春期の揺れ動く心理を描きつつ、観る者に深いメッセージを発信しています。ベルギーの才能が生み出すこの静けさの中に潜む強い意志を、ぜひ劇場で体感してください。