埼玉アイスアリーナが描くエコアリーナの未来
埼玉アイスアリーナは、設立から10年を迎える次世代型アイスリンク「エコアリーナ」として、サステナブルな快適さを提供しています。このアイスアリーナは、高効率自然冷媒冷凍機「NewTon」とCO₂ヒートポンプ式デシカント除湿機「chris」を導入し、環境に配慮した運営を実現しています。
【エコアリーナとは?】
エコアリーナは、株式会社パティネレジャーが運営する通年型アイスリンクで、冷却設備だけにとどまらず、建物や照明、空調にも環境にやさしい技術を活用しています。埼玉アイスアリーナは、製氷設備に自然冷媒機器を採用し、屋根は1,680枚もの太陽光パネルで覆われており、自ら電気を生み出しつつ、外からの熱を遮断しています。この取り組みにより、年間の電気代の半分以上が補填され、売電収入も得られています。
【建物の断熱設計】
アイスアリーナの建物の断熱性も非常に重要。江田支配人によると、外部の熱を遮ることで、内部の温度維持が容易になるといいます。視察先の船橋市のアイスリンクでは、埼玉と比較しても実に快適な温度が保たれており、良好な断熱設計の重要性を改めて実感しました。
【注目の冷却設備】
「NewTon」と「chris」は省エネルギー性が高く、環境にも優しい機器です。冷却機器のフロン冷媒が規制される中、これらの機器が果たす役割は大きいとのこと。江田支配人は、実際の運用状況を踏まえ、効率的な冷却が可能であると言及しました。実際に、新潟や西宮での導入時と比較して、埼玉では冷却効率がアップしているのだと、喜ばしい報告もありました。
【誕生からの10年の歩み】
埼玉アイスアリーナは、エコアリーナの標準モデルとして注目されています。設立以来、多くの視察者が訪れており、北米のアイススケート業界の方々も関心を持っているとのこと。特に、新技術の導入によって、廃業が相次ぐ中でも、市場価値の向上に寄与しているとされています。
【未来へのチャレンジ】
アイススケート業界全体が抱える課題も見過ごせません。廃業したリンクが復活しない理由の一つは、老朽化した設備の更新費用を捻出できないことです。近年の電気料金の高騰や少子化の影響により、運営が厳しくなっていると江田支配人は警鐘を鳴らします。その中でも、特にエコアリーナのコンセプトを堅持し、さらなる進化を模索しているとのこと。
【新たな集客戦略】
埼玉アイスアリーナでは、シーリング加工による冷却負荷の軽減や、大人向けスケート教室の開催を計画しています。フィギュアスケートの人気上昇やオリンピックシーズンの集客傾向を生かすことで、業界全体を盛り上げる意図があるようです。
【まとめ】
埼玉アイスアリーナは省エネルギーと環境配慮をテーマに、革新的なアイスリンクの運営を行っています。設備のメンテナンスを通じて、常に最新の技術を取り入れ、エコアリーナの未来を支えることが求められています。サステナブルなアイススケート環境を目指す埼玉アイスアリーナの取り組みこそが、今後のアイススケート業界のモデルになることでしょう。