葉真中顕の新作『家族』がいよいよ刊行
2023年10月24日、文藝春秋から葉真中顕の最新小説『家族』が発売されました。本作は、2011年に兵庫県尼崎市で実際に起きた連続殺人事件をモチーフにしており、整然とした日常が一瞬にして崩れ去る様を描いています。安全の象徴であった家が、暴力と恐怖の舞台に変わる瞬間を捉えた本書には、衝撃的な真実が待っています。
背景とあらすじ
物語は2011年11月3日、裸の女性が交番に駆け込むところから始まります。彼女の名前は奥平美乃(おくだいら・みの)。この女性は、かつて妹夫婦がおかしな女にお金を搾取されていると交番に相談に来たことがありましたが、民事不介入の理由でその申し出は断られていました。彼女が警察に保護依頼をしたことが契機となり、潜在的な恐怖と死が表に浮き彫りになります。
物語の中で、奥平美乃を監禁していた夜戸瑠璃子(やべ・るりこ)は、まるで家族のように振る舞いながらも、実際には凶悪な犯罪を犯していました。彼女が作り上げた疑似家族の中で、瑠璃子は「躾け」と称して暴力を振るい、結果として十三人の命が奪われていく様が描かれています。
家族とは何か、愛とは何か
『家族』は単なるクライムエンターテインメントに留まりません。この小説を通じて、著者は「家族」とは何かを深く掘り下げます。瑠璃子の視点を通じて、彼女の中の「家族」という概念がいかに歪んでいるのか、それは果たして愛と言えるのかを問いかけてきます。出会わない方が良かった人々との繋がりや、運命の糸に絡まりながら命を落としていく人たちの姿が、私たちに思いもよらぬ現実を突きつけます。
読者の反響
書店員の中には、「読む手を止めることができませんでした」と評価する声もあり、読者を惹きつけてやまない圧巻のリーダビリティという特長が際立っています。この作品は、犯罪とその背後にある人間の心理を見事に結びつけながら進行し、読者に強烈な印象を与えます。
著者について
葉真中顕は、1976年に東京都で生まれ、2013年に『ロスト・ケア』で日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞しデビューを果たしました。その後もさまざまな賞を受賞し、作品の映画化やドラマ化もされるなど、多くの読者から支持を受けています。
書誌情報
- - 書名:『家族』
- - 著者:葉真中顕
- - 定価:1980円(税込)
- - 出版社:株式会社文藝春秋
- - 判型:四六判上製カバー装320ページ
- - 発売日:2025年10月24日
- - ISBN:978-4-16-392030-6
- - 書誌URL: 書誌情報はこちら
この衝撃的な作品、ぜひ手に取ってその内容を体験してみてください。