チューリング、地域の移動課題解決に向けた自動運転技術の開発を加速
東京都品川区に本社を置くチューリング株式会社は、令和6年度の経済産業省による補正事業「地域の移動課題解決に向けた自動運転サービス開発・実証支援事業」に共同提案者として採択されました。この事業は、人口減少や交通手段の不足が深刻化する中で、自動運転技術を活用して地域の移動問題を解決することを目的としています。
自動運転システムの開発状況
チューリングはこの事業を通じて、公道での走行データとマルチモーダル生成AIを結び付けた大規模な仮想データセットを構築し、高度な自動運転技術の開発と検証を行う予定です。具体的には、次のような取り組みが行われます。
大規模仮想データセットの生成
実際の走行データに4次元情報を統合し、自車視点からの映像や周囲の交通状況を詳細に記録します。これにより、複雑な交通状況でも柔軟に対応できる自動運転システムを開発。生成AIを利用して自然言語の説明や質問応答データを加え、学習環境を整え、より精度の高い運転モデルを確立します。
生成AIモデルの精度向上
チューリングは多様な実データとシミュレーションデータを組み合わせ、AIモデルのハルシネーション対策を強化します。Red-teamingを用いた脆弱性検証や、敵対的シナリオを生成し、安定した自動運転モデルの開発を加速させていきます。
データセットの公開に向けた整備
また、自動運転やADASの開発時に必要とされる安全性・機能検証を円滑に進めるためのシミュレーション基盤を支えるデータセットを用意します。データの性質や量が高品質であることはもちろん、生成AIに関するリスクや懸念にも配慮したものを整備します。
事業の背景と意義
近年、日本の地域社会では移動手段の欠如が顕著になっています。この課題を解決するためには、新しい自動運転サービスの実装が急務です。経済産業省が策定した「モビリティDX戦略」では、海外では自動運転タクシーの事業が進んでいる中、日本でも新しい収益性のあるサービスを早期に展開する必然性が説かれています。
未来の自動車産業には、国際競争力を持ち、日本の技術を広めるための基盤が求められています。チューリングは、自動運転の標準モデルを構築し、全国各地で新たなサービスを展開することで、地域の交通問題を解決するとともに、グローバル市場への展開を目指します。
チューリングのビジョン
チューリングは、カメラからのデータのみで運転制御を行うEnd-to-End自動運転システムを開発しています。また、マルチモーダル生成AI「Heron」や自動運転向けの生成世界モデル「Terra」、自然言語による運転環境の詳細説明を行うVLAモデルデータセット「CoVLA Dataset」などを通じて、自動運転分野での技術革新をおこなっています。
2030年を見据え、完全自動運転車の実現を目指し、知見の蓄積と技術の進歩を推進していくチューリングの今後に注目です。興味のある方は、ぜひチューリングの公式サイトや採用情報をご覧ください。