フォーミュラEが2038年までの契約を延長、未来の電動レースを見据える

フォーミュラE、未来に向けた契約延長を発表

フォーミュラEは、FIA（国際自動車連盟）との間で重要な契約延長を締結しました。この合意により、ABB FIAフォーミュラE世界選手権は2038年までさらに10年間の開催権を保障されることとなります。これは、電動モータースポーツの発展を支える新たなステップであり、選手権の成長戦略を実現するための重要な基盤を築くことに繋がります。

この契約延長により、フォーミュラEはその成長が継続的に拡大し、将来的な投資の機会も生まれることが期待されています。設立以来、フォーミュラEは前年比20％の成長率を維持しており、ファンの支持が集まり、参加メーカーも増加し続けています。

FIAとの重要な合意

7月25日、FIAはフォーミュラE・ホールディングスとの間で、複数年にわたる合意を更新することを発表しました。この契約により、すべてのマシンが電動であるシングルシーターカテゴリーにおけるFIA世界選手権の地位が維持されます。新たな合意は、国際モータースポーツの中でのフォーミュラEの重要性を高め、持続可能な技術革新を推進する役割を果たします。

契約の延長により、フォーミュラEは今後のマシン開発戦略を一層強化し、最高速度や加速性能、空力性能の向上を図っていく予定です。また、レースでの成果を一般の消費者やEV（電気自動車）市場との関連性を強化し、技術革新を市販車に還元する道を拓くことを目指しています。

電動レーシングの未来

2030年までに電気自動車の新車販売が40％以上になると予測されています。加えて、リチウムイオン電池の生産量も3倍に増える見込みです。こうした中、フォーミュラEは電動モータースポーツの先駆者として新たな技術進化の中心となり、未来の市販車技術にも影響を及ぼすことが期待されます。

特に注目すべきは、2025年に登場する「GEN3 Evo」マシンです。この新型車両は加速性能と最高速度が飛躍的に向上し、0-60mph（約0-100km/h）加速が1.82秒に達するという性能を誇ります。しかも、レース中のエネルギーの約50％を回生によって補うことが可能です。さらに、タイヤには35％のリサイクル素材が使われ、ボディには再生カーボンファイバーや天然繊維が導入されています。

現在、ポルシェやジャガー、日産、マセラティなどの自動車メーカーが参加しており、フォーミュラEは世界で唯一のFIA認可の電動シングルシーター選手権として、革新的なテクノロジーと持続可能性を重視した運営を行っています。このイベントは、全世界で7000万人以上のファンを抱え、年間20％の成長率を記録しています。

フォーミュラEの社会的意義

フォーミュラEは、環境・社会・ガバナンス（ESG）の観点からも評価されており、持続可能性において3年連続で最高評価を受けています。また、温室効果ガスの削減や開催都市でのレガシーを意識した「Better Futures Fund（ベター・フューチャーズ・ファンド）」の取り組みにも注力しています。

FIA会長のモハメド・ビン・スライエム氏は、契約延長がモータースポーツ全体にとっての大きな成果であり、持続可能な未来を目指すコミットメントを強調しました。今後、フォーミュラEはさらなる成長を続け、より多くのファンに向けた新たな取り組みを展開していくでしょう。

フォーミュラEは、持続可能で魅力的なモータースポーツの未来を描く存在として、ますます注目を集めていくことになりそうです。