REXEVの新しいエネルギー管理システム
東京都の「ゼロエミッション東京の実現に向けた技術開発支援事業」に選ばれた株式会社REXEVは、EV(電気自動車)を活用した大規模なバーチャルパワープラント(VPP)の実証を行い、実用化に向けた重要な成果を挙げました。この実証実験により、EVの蓄電池を用いたエネルギーマネジメント技術が確立され、同時に複数の電力市場への対応が可能となりました。
EVの新たな役割
EVの普及が進む現代において、EVは単なる移動手段ではなく、再生可能エネルギーを用いたエネルギー安定化のための重要なリソースとしての役割が求められています。REXEVはこの新しい価値を実現するため、EVをVPPとして利用するための技術開発を進めてきました。
直面した技術的課題
しかし、EVをVPPとして実用化する際には以下の3つの大きな技術的課題が存在しました。
1.
高度な充電制御と日常利用の両立:EVは日常的に利用されるため、移動と充電を高度に両立させる必要があります。これにより、複数の電力市場に同時対応可能な媒介が求められました。
2.
多様な車両と充電器の参加:車両メーカーや充電インフラが多様化する中で、汎用性の高いプラットフォームが必要でした。
3.
コストに関する課題:追加の設備投資やランニングコストが高いため、個人や法人の参加につながりにくい状況がありました。
信頼可能なプラットフォームの構築
REXEVはこの課題を克服するため、実証事業を通じて「エネルギーマネジメントプラットフォーム(eMMP)」を開発しました。このプラットフォームは、東京都の支援を受けて47台のEVを用いて実施された試験により、需給調整市場、容量市場、そして小売支援の各市場において同時に高精度なエネルギー制御の実現を確認しました。
管理技術が確立したことで、EVを活用した系統の安定化や小売の電力調達コストの削減が可能であることが証明されました。
大規模運用の可能性
また、REXEVは5000台規模の車両を同時に制御することができることも確認しました。この進展により、VPPが数万台規模で展開される未来も近づいています。これによって、EVを通じて新しい社会インフラの確立が目指されます。
コスト削減への取り組み
REXEVは、EVのVPPへの参加を促進するため、導入・運用コストの大幅な削減に成功しました。具体的には、VPPの月額料金を2万5千円から500円に(98%減)、初期導入費用を40万円から0円に(100%減)まで削減しました。これにより、個人でも法人でも気軽にVPPに参加できる環境が整いました。
今後の展望とサービス
このような取り組みを通じて、REXEVはEVの力を最大限に引き出し、エネルギーとモビリティを融合した持続可能な社会を目指します。特に、物流業界や公共交通機関における大規模なEV導入を見据えて、さらなるサービス展開を進めていく方針です。
REXEVのエネルギーマネジメント技術は、ただの電力供給にとどまらず、社会インフラの一翼を担うことを目指しています。これからのEVとエネルギーの関係性がどのように変化していくのか、その行方から目が離せません。