日本スポーツ界のDE&I調査報告:サステナビリティと多様性の現状とは
日本のスポーツ界におけるDE&I(多様性、公平性、包括性)やサステナビリティに関する調査が近日発表されました。この調査は、NPO法人プライドハウス東京が主導し、スポーツ庁の支援を得て、各スポーツ団体におけるLGBTQ+の現状や多様性の取り組みの実態を把握することを目的としています。
調査の背景と目的
昨今、日本スポーツ界におけるハラスメントに関する相談件数が増加しており、特に2024年には536件に達する見込みです。これに伴い、スポーツ現場における人権の保護とサステナビリティの重要性がクローズアップされています。特に、日本では多様性に配慮した取り組みがまだまだ遅れをとっているのが現状です。海外では、女子チームや障がい者チームが設立されるなど、組織的な対応が進んでおり、企業側もスポンサーシップを積極的に行っています。
この調査の結果、スポーツ界におけるDE&Iの取り組み状況を具体的に示すための「スポーツ版PRIDE指標(仮称)」を開発する実行委員会が運営されています。目的は、国内のスポーツ組織がどのように多様性やサステナビリティに取り組んでいるのか、その現状を把握し、今後の戦略を策定することです。
調査方法と結果
調査はインターネットを通じて2025年3月24日から4月4日まで実施され、31の組織から回答を得ました。この調査には、サッカー、野球、ラグビー、陸上、水泳などの各種スポーツ団体が含まれています。調査にはいくつかの重要な項目が含まれており、それに基づく結果が発表されました。
女性役員の割合
調査によると、スポーツ庁が定めるガバナンスコードの目標を満たす組織はわずか16%であり、女性役員の数が10%未満の組織が全体の50%を占めています。また、女性職員の比率が50%未満の組織は80%におよび、多様性の推進が大きな課題であることが浮き彫りになりました。
DE&Iに関する専任部署の不足
DE&I推進の専任部署や担当者がいる組織はわずか10%に過ぎず、過半数の組織には専任部署が存在しないことが分かりました。この状況が、組織内部での多様性推進に大きな障壁になっていると言えるでしょう。
差別禁止ポリシーの整備状況
約60%の組織が多様性の尊重や差別禁止に関するポリシーを制定していますが、まだ40%の組織ではこのような方針が整備されていないことが明らかになりました。また、相談窓口の整備状況も課題であり、全体の約30%の組織で通報ルートや相談窓口が機能していないとされています。
LGBTQ+とSOGIEへの取組
調査では、66%の組織がLGBTQ+やSOGIEに関する取り組みが必要であると回答しましたが、方針や制度が整備されていない組織も多く見られました。特に、職員や選手が相談できる窓口が未設置の組織が70%以上存在し、今後の改善が求められています。
今後の展望
この調査結果を元に、DE&I推進のための新たな枠組みが創出されることが期待されています。企業とスポーツ組織が連携し、持続可能な取り組みを推進することで、ファンやスポンサーの多様化を図り、より健全なスポーツ環境が実現できるでしょう。
調査結果の詳細については、プライドハウス東京の公式サイトをご覧ください:
調査の詳細。