HTBノンフィクション『生ききる』がPROGRESS賞奨励賞を受賞
HTBノンフィクション『生ききる』が受賞した理由
HTB北海道テレビが制作したドキュメンタリー番組『生ききる~俳優と妻の夜想曲~』が、第31回PROGRESS賞で奨励賞を受賞しました。この番組は、俳優で脚本家の斎藤歩さんのがんと闘う姿を描き、彼の新たな芝居に挑む姿勢を追いかけたものです。
PROGRESS賞とは
PROGRESS賞は、1995年から続くテレビ朝日系列の番組審議会が選定した優れた作品に与えられる賞であり、放送番組の質を高めることを目的としています。シリーズ全体の評価を高め、製作者の努力を称える意義があります。HTBが受賞するのは2012年以来、13年ぶりの快挙です。
番組の内容とテーマ
『生ききる』は、60歳の斎藤さんが余命半年と宣告された後、がんの克服に向けて挑む姿を描いています。この作品の中で彼は、治療と並行して新しい芝居を作り上げる過程を追い、がん患者及びその家族が直面する現実と葛藤を描写しています。正直で生々しい彼の姿は、視聴者に深く響きました。
特に彼の妻との関係性が強調され、二人の間にある愛情と不安の葛藤がリアルに表現されています。番組は、ただがんの話を扱うのではなく、どう生きるべきか、愛する人が困難な状況にある時に僕たちがどう向き合うかというテーマをも含んでいます。
受賞の喜び
10月30日に開催された表彰式で、沼田博光ディレクターは、受賞に際して「このような栄えある賞をいただけて本当に嬉しい」とコメントしました。特に視聴者からの反響として、「作品の重層的な構成が素晴らしい」「自分ががんになったらどうするか考えさせられた」といった意見が多く寄せられたことに感謝の気持ちを表しました。また、構成の巧みさや映像表現の深さについても高い評価を受けていました。
審査員のコメント
審査員からは、「演劇内の劇中劇がテーマをより深く示している」といった意見や、「斎藤さんの情熱が映像から伝わる作品」と称賛の声が寄せられました。一方で、映像表現においては時折フィクション性が強く感じられたとの意見もあり、観る人によって受け取る印象は異なることも想定されます。
まとめ
『生ききる』は、告知された余命を抱えた俳優の生きざまが映し出された、ただのドキュメンタリーに留まりません。人間の「生きる」ということの本質に迫る力強い作品であり、視聴者に様々な気付きを与える内容となっていました。これからも多くの人に愛され続けることでしょう。