大久保佳代子が描く妄想と現実の狭間：エッセイ集『パジャマあるよと言われても』

大久保佳代子がついに手掛けたエッセイ集『パジャマあるよと言われても』が、2025年5月22日に全国書店やオンラインで販売されることが発表されました。

本書は、彼女が雑誌『POPEYE』や『Tarzan』で12年にわたり連載してきたエッセイの中から、厳選された120本以上を収めた1冊です。大久保氏の独特な視点から描かれた「濃い目の妄想」と「アラフィフの現実」が交錯するこの作品は、彼女のファンはもちろん、幅広い読者に親しまれる内容となっています。

タイトルにある「パジャマ」は、リラックスした時間を意味するかのように、人々の日常の一部でもあります。本書では、彼女の妄想の世界の片鱗が見え隠れしつつ、直面するアラフィフならではの現実も描かれています。「ガテン系男子にカヨコを差し入れ♡」という妄想から、「老後を考えたVIO脱毛」という現実まで、大久保流の見事なストーリーテリングで展開されるのです。

著者のコメントにもあるように、彼女は本書を通じて読者に自身の悪態や下品さをさらけ出しながら、同時にそれを通して自分を見つめ直す機会を提供したいとの思いを語っています。「私よりマシ」と思える感覚で読み進めてほしいというメッセージには、ユーモアを交えた感情の深さが感じられます。

このエッセイ集では、さまざまな年齢における「カヨコ」の姿が描かれています。42歳のカヨコはひとりで生きることを模索し、44歳では「都合のいい女」からの脱却を宣言。そして46歳では恋愛における不戦勝を語り、48歳に至っては高齢化社会を題材にしたシリアスな問題を考察しています。50歳を迎えたカヨコが周囲の視線を気に掛けつつ美顔器を使う姿は共感を呼ぶことでしょう。最終的には52歳のカヨコが「甘えたい」という感情に正直に向き合い、五十肩や大谷翔平ロスといったテーマを通して、リアルな心情にも触れています。

本書の魅力は、単にエッセイとしての楽しみだけでなく、どの世代の読者にとっても共感できる要素が詰まっている点です。大久保佳代子の個性的な語り口と視点が、日常生活の中で感じるさまざまな影響や感情を鮮やかに描き出しています。

『パジャマあるよと言われても』は、ただ読んで楽しむだけでなく、生活の中で共に寄り添ってくれる存在となるかもしれません。堂々とした彼女のエッセイを手に取って、現実と妄想が交錯する世界へ足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。これまでの12年間の集大成ともいえる本書は、トイレの側でペラペラと読み進めながら、自分の人生について考える一助となることでしょう。

これからも大久保佳代子のユニークな視点に注目していきたいものです。今後の彼女の活動と新たな作品に期待が高まります。