高校野球に変革をもたらすか?新書『高野連』の本質とは
2023年7月17日、新潮社から広尾晃による新刊『高野連』が発売されました。この一冊は、高校野球を取り巻くさまざまな問題に焦点を当て、その改革の必要性について考察しています。甲子園をめぐる議論は、飛びすぎる金属バット、ピッチャーの投げ過ぎ、暑さ対策、暴力問題、そして七回制の導入など、多岐にわたります。その中で、しばしば改革を阻む元凶として指摘されるのが「高野連」です。
しかし、広尾氏はこの組織の実態を深く分析し、単なる悪者ではないことを明らかにしています。高野連には全国高野連と各都道府県の高野連が存在しますが、その関係は上下関係ではなく、対等な立場にあることが特徴です。各県の高野連のトップは、公立高校の校長先生であり、多くは野球経験がないといいます。これにより、現場の状況を理解できない「お飾り」としての側面が強く出ており、改革への意欲は低いと著者は指摘します。
現状とその背景
著者によれば、高野連は様々な制約の中でも一定の改革に取り組んできたものの、構造的な問題が依然として残っています。たとえば、飛びすぎ金属バットや球数制限、暑さ対策への取り組みは行いつつも、その背後には政治的な駆け引きや保守的な考え方が横たわっています。特に教育的な立場を重視する余り、高校野球の裾野を拡げる努力が全く行われていないことが、大きな問題とされています。現在、日本では子供たちの野球離れが進んでおり、これを危惧する声が上がっていますが、高野連にはその解決策を見出す姿勢が乏しいようです。
一方で、著者はアメリカの大学スポーツの成功例を挙げ、高野連も甲子園大会をビジネス化すべきだと提言しています。NCAAを介して選手たちがプロをしのぐような収入を得ている現状と対比し、甲子園を「巨大コンテンツ」として活用しない手はないと主張します。現在は無償で放映権を提供している高野連ですが、これを見直し、収入をスポーツの維持や発展に役立てる仕組みを導入する必要があると警鐘を鳴らしています。
本書が伝えるメッセージ
『高野連』は高野連に関する内情や歴史だけでなく、「どうすれば良いのか」「改革の方向性」は何かにまで言及しています。野球を愛するすべての人にとって、興味深い一読となることでしょう。著者の広尾晃は、スポーツライターとして数十年の経験を持ち、数々の著書をもっている実績ある人物です。彼の視点から描かれる高校野球のリアルな姿は、一読の価値があります。
ぜひ、多くの方にこの本を手に取っていただき、現状の高校野球を考えるきっかけとしてほしいです。自らの野球文化を見つめ直すために、是非足を運んでみてはいかがでしょうか?