渋谷慶一郎の再演
2025-11-07 08:36:41

渋谷慶一郎の「アンドロイド・オペラ」が感動の再演を果たす

渋谷慶一郎の「アンドロイド・オペラ」感動の幕が開く



2025年11月5日、渋谷慶一郎による最新作『ANDROID OPERA MIRROR ― Deconstruction and Rebirth ― 解体と再生』が、サントリーホールで華々しく上演されました。約2時間にわたる公演の終わりには、観客全体がスタンディングオベーションを送る感動の瞬間が訪れました。

このオペラは、アンドロイドが歌い、オーケストラや電子音、映像、さらには1200年の歴史を有する仏教音楽が融合した斬新な作品です。人間とテクノロジーの境界を問い直し、死生観を新たにする試みとして、東洋と西洋、伝統と革新が交錯します。これまでドバイ万博やパリ・シャトレ座でも上演され、今回の「解体と再生」バージョンでは、さらなる深みが与えられました。渋谷自身の亡き妻をモデルとした「アンドロイド・マリア」が初めてステージに登場し、彼女の歌唱は観客の心を打ちました。

ステージの多様性



62人の特別オーケストラや、4人の高野山の僧侶による声明、さらにリアルタイムでのAI会話など、多様な要素が融合する中、招待ゲストとして登場したグラミー賞受賞ベーシスト、シャーロット・ケンプ・ミュールの参加も大きな盛り上がりを見せました。

開演序盤、渋谷のエレクトロニクスによる『Overture(序曲)』が響く中、僧侶たちが声明を唱えながら入場し、オーケストラへの新たな期待感が高まります。その後、『BORDERLINE』が始まると、金管楽器の音色がホールに響き渡り、観客は驚嘆の声を上げました。AIによる歌詞も「かつて愛したあの世界はもうあなたのものじゃない」と、強いメッセージを送ります。

次の曲『The Decay of the Angel』では、三島由紀夫の遺作からインスパイアを受けた音楽が展開され、若い僧侶のソロが印象的な瞬間を演出しました。

アンドロイド・マリアの魅力



アンドロイド・マリアは、彼女の過去を学習したGPTプログラムによって、ステージ上でリアルタイムに渋谷と対話し始めました。その自然な会話に観客は驚き、感動が広がります。続いて、シャーロット・ケンプ・ミュールが登場し、エレクトロニクスとオーケストラによる『Recitativo 2(レチタティーボ2)』に参加。多様な音の重なりが、会場の空間を包み込みました。

繊細な瞬間の賜物



前半の締めくくりとして演奏された『Voices』では、渋谷がシンセサイザーを駆使してメロディを奏で、アンドロイド・マリアの即興の歌声が重なります。同時にケンプ・ミュールが朗読した詩は、幻想的な雰囲気を醸し出し、観客を魅了しました。

休憩中、アンドロイド・マリアによるマリーナ・ツヴェターエワの詩の朗読では、客席の静寂を引き立て、彼女の造形や動きが観客の心を掴みました。精巧なアンドロイドの存在感は、まさに人間性を感じさせるものでした。

後半の盛り上がり



後半が始まると、『MIRROR』が場内を暗転させ、重厚な電子音が鳴り響きます。僧侶たちが法螺貝の音を響かせ、会場は緊迫した雰囲気に包まれました。アンドロイド・マリアの「Let’s celebrate this new experience together」の呼びかけは、観客を一つにする力を発揮しました。

さらに、渋谷の優雅なソロ演奏や高野山僧侶たちの美しいハーモニーが、アンドロイド・マリアとともに展開します。この中で、「ヨーロッパの終焉」を象徴するような曲調が観客を驚かせ、この融合が新たな可能性を見せました。

最後の曲『Lust』では、「欲望の肯定」と「自己と他者の融合」をテーマにした美しい旋律が、アンドロイド・マリアと僧侶たちの壮大なパフォーマンスを引き立てます。音楽は次第にスローモーションのように減速し、作品全体が壮大なクライマックスへと向かいます。

公演の総括



カーテンコールでは、渋谷が全員を呼び込み感謝の意を示しました。特に、亡き妻への想いが込められた『for maria』のアレンジ版は深い感動を呼び起こし、最後には喝采と共に終了しました。これまでの創作を通じて、渋谷は生と死を超えた境界に挑んでいます。彼の音楽は、悲しみの中に希望を見出し、輪廻的な感覚を観客に問いかけた夜となったのです。

こうした感動的な体験が、次回2026年5月に大阪・フェスティバルホールで再演されることが決定し、さらなる期待が寄せられています。


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