ドキュメンタリー作品『AIが消し去る声』がインドの映画祭で受賞
現代美術家の窪田望が監督したドキュメンタリー映画『AIが消し去る声』が、第14回 Delhi Shorts International Film Festival(DSIFF)にて、見事「Best Documentary」を受賞しました。この作品は、AI社会がもたらす課題を探求する一環として、クローズアップされたテーマやストーリーが多くの反響を呼び起こしています。
DSIFFについて
Delhi Shorts International Film Festival(DSIFF)は、インド・ニューデリーを拠点に毎年開催される映画祭で、2012年の創設以来、ショートフィルムやドキュメンタリー、アニメーション、ミュージックビデオなど、様々なジャンルの作品が世界中から募集されています。この映画祭は、主に商業映画が台頭するインドにおいて、短編やドキュメンタリー作品に特化した貴重なプラットフォームとして知られています。過去の受賞者には、世界中の新進気鋭の作家たちが含まれており、国際的な注目を集めてきました。
会期中には、映画の上映に加え、フィルムマーケットやパネルディスカッション、ネットワーキングの機会も設けられ、映画制作技術の向上と交流が推進されています。
『AIが消し去る声』の内容
本作は、AIの発展がもたらす「分類の暴力」とその影響を、フィジカルに異なる存在として暮らす裂手症の当事者とその家族、医療従事者へインタビューを行うことで描き出しました。窪田は、「AIが形成する正規のパターンの中に、どれだけ多くの声が排除されているのか」という問いを投げかけ、この作品を通じて観客に問題意識を持たせようとしています。
出演者には、裂手症を持つ当事者やその家族、医療従事者たちが名を連ね、彼らのリアルな声が映像に込められています。また、映像制作には黒川雄斗氏と黒川みなみ氏が関わっています。彼らの協力により、作品はより深みを増すことができました。
海外での受賞歴
『AIが消し去る声』は、今回の受賞により4つの国際映画祭およびアートアワードでの受賞歴を持ちます。これまでの受賞経歴は以下の通りです:
- - アメリカ・ハリウッドのHollywood Stage Script Film Competition2025で「BEST SHORT DOCUMENTARY」を受賞。
- - アメリカ・ニューヨークのICP Entertainment Film Festival2025で「BEST HUMANITY FILM」を受賞。
- - タイ・日本のCENRETA ART AWARD 2025で「最優秀賞」を受賞。
- - インド第14回 DSIFFで「BEST DOCUMENTARY」を受賞。
これにより、この作品が国際的な注目を集め、さらなる対話を生み出すことが期待されています。
窪田望の活動
窪田望は、「外れ値の咆哮」というコンセプトのもと、社会の隅に置かれがちな存在の価値を再評価する作品制作に取り組んでいます。AIの開発における外れ値の問題に疑問を持ち、社会的マイノリティの生活が無視されてはならないと強く訴えています。彼は、20年以上にわたりAI技術を研究してきた経歴を持ち、作品制作を通じて新たな視点を観客に提案します。
まとめ
『AIが消し去る声』は、AI社会の未来における課題を浮き彫りにし、観客に新たな視野を提供する力のある作品です。今回の受賞を機に、本作が一層多くの人々に影響を与え、国際的な対話が生まれることを期待しています。