ヤンマーが調達データプラットフォームUPCYCLEを導入し新たな購買活動へ

2023年、ヤンマーホールディングス株式会社は、製造業向け調達データプラットフォーム「UPCYCLE」を導入したことを発表しました。これにより、同社は見積書などのコスト関連情報を一元管理し、より洗練されたデータ主導の調達活動の実現を目指しています。

UPCYCLE導入の背景

ヤンマーは、農業機械や建設機械、マリン関連など多岐にわたる事業を展開する総合メーカーであり、100年以上の歴史を誇ります。近年、購買業務の負担が増大しており、それに伴い調達部門の付加価値向上を図る必要性が高まっていました。従来のシステムでは、ペーパーレス化による業務の複雑化や、非構造化データの活用が難しいという課題が浮かび上がっていました。特に、見積書は各サプライヤーによる独自のフォーマットが多く、データの構造化や分析が困難な状況でした。このため、バイヤーはコスト算定や価格交渉に注力することが難しく、提案型の資材部門への転換が求められていたのです。

UPCYCLE導入のポイント

ヤンマーの評価の中で、「UPCYCLE」の導入が選ばれた理由は、いくつかの明確なメリットに由来します。まず、サプライヤーのフォーマットをそのまま活かしてデータを構造化できる点が挙げられます。これに加えて、AIと人の協力によって最終成果物の品質が保証される仕組みも信頼性が高いとされています。業務の効率化だけではなく、付加価値のある提案活動へのシフトを支援する点も重要です。明細データの分析機能により、原価低減や効果的な価格交渉が実現できるのも大きな利点です。さらに、データに基づいた発注先の選定やデジタルバイヤーの育成も進められています。

今後の展望

デジタル技術の進展と国際的な競争が激化する中で、ヤンマーは「データドリブンな購買活動」と「バイヤーのDX」を目指し、UPCYCLEの利用をさらに広げる予定です。ITツールへの投資とその効果を追求しつつ、価格、安定調達、ESG（環境・社会・ガバナンス）のバランスを高いレベルで実現し、企業の成長と社会的な価値の創出を図る考えです。

A1A株式会社は、今後も調達・購買業務のデジタルトランスフォーメーション（DX）を推進し、日本のものづくり産業の強化に寄与することを目指しています。

UPCYCLEの特徴

「UPCYCLE」は、見積書に記載されたデータをAI-OCR技術で構造化し、コスト分析や見積の比較を容易にするプラットフォームです。2024年12月からは、見積明細情報に加え、図面やコミュニケーション履歴もデータベース化し、AIによる類似図面の検索機能も提供されます。これにより、調達部門だけでなく、設計部門や原価企画部門においても活用が広がり、高度な調達活動の支援が期待されています。