東京文化会館が贈る、視覚と聴覚の融合オンラインコンサート
2025年に予定されている世界陸上やデフリンピック開催を前に、東京文化会館は難聴者やろう者を対象にした新しい試みとして、音楽のオンラインコンサートを開催します。3月4日(火)の夕方、19:00から19:20までの20分間、視覚と聴覚が融合したユニークなパフォーマンスが無料で配信されます。
このオンラインコンサートの目玉は、音楽の要素を視覚的に体感できる点です。ピアノやフルート、さらに打楽器の演奏を担当する「東京文化会館ワークショップ・リーダー」の4名が出演し、特に注目されるのがソニーグループが開発した「ハグドラム」。これは、打楽器であるハグドラムを叩くことで音が光や振動に変換され、演奏者同士でその感覚を共有しながら演奏することができます。
コンサートでは、演奏の様子が舞台上に設置された反響板に映し出され、アニメーションや光の効果が融合することでまるで視覚的なオーケストラを見ているかのような体験をしてもらえます。この特別なパフォーマンスでは、著名な作曲家であるウォルフガン・ロッゲンカンプの「アフリカン・ブルース」やシャブリエの『田園組曲』よりスケルツォ・ワルツといった楽曲が演奏される予定で、観客は音楽を楽しむだけでなく、その視覚的な要素にも大いに驚かされることでしょう。
コンサートは、東京都と公益財団法人東京都歴史文化財団が進めている「TOKYOスマート・カルチャー・プロジェクト」の一環として実施され、最先端技術を駆使した新たな鑑賞体験が提供されます。このプロジェクトは、誰もがいつでもどこでも芸術文化に触れられる環境を実現することを目指しています。
本公演では、参加者としてぼんやりと参加するのではなく、ろう者や聴者が積極的に演奏に参加できるのも特徴です。会場内でハグドラムを使った演奏が行われ、その様子が視聴者に届くことで、一層深い音楽体験が提供されます。
また、視聴者はコンサートに参加した後、録画されたパフォーマンスをアーカイブとして、3月26日から10月31日まで視聴することが可能です。これにより、忙しい方でも時間を自由に調整でき、自宅でゆっくりと楽しむことができるのです。
2025年には、世界中から注目が集まる大イベントが間近に迫っている中、このコンサートが障害の有無にかかわらず、すべての人が音楽を楽しむ機会を提供することが多様性の実現につながることは、非常に意義深いです。
「音楽をみる、映像をきく」という新しい感覚を持つこの特別なコンサートは、幅広い世代や背景を持つ人々を結びつける架け橋ともなることでしょう。視覚と聴覚の新たな出会いを楽しみに、このオンラインコンサートに参加してみてはいかがでしょうか。