石川さゆりと作詞家もず唱平が紡ぐ新曲「棉の花」の背後にある思いとは

番組『ドキュメンタリー7』の中で見る石川さゆりとともず唱平

大阪・河内地方といえば、かつて盛んだった河内木綿の生産で知られています。その歴史を背景に、新たな歌をリリースしたのは、歌謡界の重鎮である石川さゆりさん。この新曲が持つ意味や制作の裏側に触れたドキュメンタリー「ドキュメンタリー7」は、多くの視聴者の心に響く内容となっております。

河内木綿とともに生きる女性たちの物語

新曲「棉の花」は、河内木綿を紡いだ女性たちの切なくも美しい物語を描いたものです。作詞を担当したのは、大阪出身の名作詞家・もず唱平さん。彼は「釜ヶ崎人情」など数々のヒット曲を生み出してきましたが、昨年には引退を宣言しました。しかし、石川さんが熱烈に依頼したことで、もずさんはこの新曲を書き上げたのです。彼は「自身の最後の作品」と位置付け、歌詞に込めた想いは格別なものとしています。

もず唱平のルーツと平和への願い

もずさんは長年、故郷の河内で暮らしながら地域の女性たちと深い交流を持ってきました。河内木綿の種まきに参加し、実際の現場を知ることで、よりリアルな情景を歌詞に織り込みました。今年5月、大阪で開催された関西万博では、未来についての思索を巡らせながら、これまでの活動を振り返りました。ウクライナやパレスチナ、イスラエルなど、今なお紛争が続く地域に対しても強い関心を持っており、それに基づく今後の活動への心構えを語っています。

もずさんの平和への思いは、彼自身のルーツに深く結びついています。1945年8月の原爆投下で父親が被爆したことが、彼の人生に大きな影響を与え、戦争の傷跡を抱えながらも平和に関する活動を続けてきました。このような背景を知ることで、「棉の花」に込められた思いがより一層深まります。

石川さゆりとともず唱平の再会

河内で行われたコンサートでは、石川さんともずさんが再会し、「棉の花」を披露する機会もありました。石川さんは、もずさんの歌詞を「ラブレター」と表現し、「歌うことはラブレターへの返事だ」と語ります。この言葉に込められた意味は、ただ歌を届けるだけではなく、もずさんの想いを受け止め、次の世代へと引き継ぐことと解釈できます。