日産とTBWA HAKUHODOが動物保護を目指す新プロジェクト「NISSAN ANIMALERT」を発表

日産とTBWA HAKUHODOが新たに立ち上げた「NISSAN ANIMALERT」

日産自動車とTBWA HAKUHODOの新たな取り組みが、野生動物の保護に向けた革新的なプロジェクト「NISSAN ANIMALERT」を発表しました。このプロジェクトは、クルマと野生生物の接触事故、通称ロードキルをゼロにすることを目指しています。特に、鹿児島県の奄美大島と徳之島に生息するアマミノクロウサギを対象に、その保護活動を展開します。

プロジェクトの目的と背景

「NISSAN ANIMALERT」という名称は、「ANIMAL（動物）」と「ALERT（警告）」を組み合わせたものであり、動物たちが事故に遭うことを未然に防ぐための音響装置を導入するというアイデアに基づいています。このプロジェクトは、3月3日の「世界野生生物の日」に合わせて、日産の公式YouTubeチャンネル及びSNSにてムービーを公開する予定です。

日産は、2010年に世界初のEV量産車「日産リーフ」において、歩行者に車の接近を知らせる《接近通報音》を導入し、国際規則の制定にも寄与してきました。その技術を基に、受信した音の特性を動物に合わせてカスタマイズし、野生生物への配慮を行うことで、接触事故の防止を図ります。

現状のロードキル問題

国土交通省の報告によると、2022年度には国道や高速道路でのロードキル件数がそれぞれ7万件や5万件に達し、多くの動物が交通事故に遭っていることが明らかになっています。特に奄美大島では、アマミノクロウサギの道路での死亡件数が毎年増加しており、2023年には過去最多の147件が確認されました。このような状況下で、「NISSAN ANIMALERT」はまずはアマミノクロウサギを守る活動からスタートし、最終的には全国的に広がるロードキル問題に対応する意向を持っています。

実証実験と新技術

プロジェクトの進行は、日産テクニカルセンターでの高周波音の特性分析を経て、奄美大島での走行実験に進められています。試験車両には、特別に設計された高周波音を発する装置が搭載され、実験ではアマミノクロウサギが音を聞いて逃げる様子が確認されています。

この実験は、2024年12月に本格稼働する予定で、動物の安全を確保しつつ、人間の運転者にとっても安心な環境を提供することを目指しています。

産官学の連携

このプロジェクトには、日産自動車をはじめとする行政機関や大学、環境団体など多岐にわたる7つの団体が参加しています。各組織はそれぞれの専門性を生かし、動物保護と人間の安全を同時に実現するために協力しています。TBWA HAKUHODOの担当者は、近年のロードキル問題に直面し、この技術が双方の共生に役立つという強い思いを持っているとコメントしています。

未来への展望

「NISSAN ANIMALERT」は単なるプロジェクトではなく、動物と人間の共存を目指す意義深い活動です。日産自動車の取り組みが、未来の社会においていかに動物保護に寄与していくのか、私たちも注目していく必要があります。道路で暮らす多くの命を守るため、一歩ずつ進化していくこのプロジェクトの行方を見守りたいと思います。