中学生のスポーツ機会における世帯年収格差と保護者の関与

中学生のスポーツ機会における世帯年収の格差

2025年1月に実施された笹川スポーツ財団（SSF）の調査では、中学生のスポーツ活動における世帯年収による格差が明らかになりました。この調査は、3,136名の中学生の子どもを持つ保護者に対し、保護者のスポーツ活動への関与や家庭環境に基づいて行われました。

調査の背景と目的

「スポーツ・フォー・エブリワン」を推進するSSFは、この調査を 통해中学生のスポーツ環境を保護者の目線から浮き彫りにし、家庭の支出や地域差を分析しました。この調査によって、中学生のスポーツ機会が世帯年収によってどう変わるのか、特に運動部とスポーツクラブの二つの活動を比較しながら分析が行われました。

調査結果の要点

1. スポーツ機会の格差
世帯年収の違いが、部活動やスポーツクラブへの加入状況に影響を及ぼしています。運動部への加入率は、世帯年収400万円未満では42.3%で、その他の年収層に比べて低い状況です。

2. 早期のスポーツ経験
中学校入学前からのスポーツ機会にも格差が見られます。高年収層ほど、入学前や小学生時代に組織的なスポーツ活動を経験している傾向があります。

3. 費用の負担
運動部活動にかかる年間費用は50,857円と、スポーツクラブの155,799円と比べてかなり低いことが分かりました。特に低年収層では、スポーツ活動を行う費用の負担が大きいと感じている保護者が多いことが明らかになりました。

4. 保護者の地域差
保護者の関与には地域差があり、特に小規模な自治体では高い関与が見られる傾向があります。保護者が送迎や活動のサポートを行う割合が低い地域も見られ、地域特性を考慮した支援が重要です。

課題と今後の展望

SSFでは、部活動の地域展開において、経済的格差が子どもたちのスポーツ機会に与える影響を考慮する必要があると強調しています。より良い環境を整えるためには、既存の部活動の長所を生かしながら、地域ごとの実情に応じた支援策を検討する必要があります。

この調査から得られたデータは、今後のスポーツ政策に重要な示唆を与えるものであり、すべての子どもたちが平等にスポーツに参加できる環境づくりが求められています。