ティアフォーとCMUが柔軟な自動運転システムの実現へ向けた協業を発表

自動運転の新たな地平線へ

自動運転技術は進化を続け、その中でも特に注目を集めているのが、「レベル4+」という新たな自動運転の概念です。この度、ティアフォーがカーネギーメロン大学（CMU）および米国運輸省の全米大学交通センター「Safety21」と提携し、この「レベル4+」を実現するための協業を開始しました。

自動運転の民主化を目指すティアフォー

ティアフォーは、自動運転の民主化を目指すディープテック企業であり、オープンソースの自動運転ソフトウェア「Autoware」を開発していることで知られています。この「Autoware」は、世界中の自動運転システムに導入されており、その広範な利用によって、自動運転技術の発展に寄与してきました。

今回の協業では、ティアフォーとCMUが手を組み、強固なロボティクス技術と最新のデータ中心型AIを融合させたハイブリッドアーキテクチャの構築を目指します。これにより、自動運転システムのスケーラビリティや安全性を高め、エンボディドAIによる透明性のある意思決定プロセスの確立が期待されています。特に、運行設計領域（Operational Design Domain：ODD）で柔軟に対応できる自動運転の実現を目指します。

Safety21との連携強化

この協業は、CMUのRaj Rajkumar教授が主導するSafety21との連携によって強化されます。ティアフォーもSafety21の諮問委員会に参画し、オープンソースソフトウェアを通じて自動運転の安全性とユーザー体験の向上に貢献していく予定です。

従来、自動運転は高精度の地図や環境データに依存していましたが、「レベル4+」では未知の状況にも柔軟に対応できるようにデザインされており、システム機能の一部にレベル5の概念を取り入れることで進化を遂げます。

「レベル4+」の圧倒的な可能性

「レベル4+」の特徴は、人間の運転による動的運転操作（Dynamic Driving Tasks：DDT）から独立している点です。これにより、システムはより自己完結的に運行を管理でき、外部からの情報を柔軟に取り込みながら運転が可能となります。このような機能により、さまざまな環境での自動運転の普及が見込まれています。

特に、実運用における安全性を評価するための新しいアーキテクチャの必要性が高まっており、これは運転中のリスクを最小限に抑えるためにも重要です。ティアフォーとCMUは、実環境でのデータ収集やクローズドループによる検証を行い、得られた知見を「Autoware」に反映させるプロセスを経て、自動運転技術を実社会に適用する道を開いていきます。

実施スケジュールと展望

プロジェクトは3年間の計画で進められ、初年度には「Autoware」を基にした自動運転機能を搭載したリファレンス車両の開発が行われ、東京とピッツバーグにおいて実証走行が予定されています。これにより、技術の進化と社会実装に向けた基盤が整うことでしょう。

2年目以降には、安全性評価の体制整備を進め、自動運行装置の認可取得に向けた取り組みも強化されていく見込みです。これにより、信頼性の高い自動運転技術の実装が一層期待されます。

専門家のコメント

ティアフォーのCEOである加藤真平氏は、「今回の協業は、先進技術を結集し、安全でスケーラブルな自動運転システムを構築するための一歩」と述べています。また、CMUのRaj Rajkumar教授も、「今回の統合により、自動運転におけるAI活用の理解が深まると確信しています」と期待を寄せています。

この協業は、未来の自動運転社会を見据えた大きな進展を意味しており、今後の展開が非常に楽しみです。