人手不足の外食産業、くら寿司の体験型研修が鍵役に

人手不足の外食産業、くら寿司が目指すEX向上

近年、外食産業は人手不足という深刻な状況に直面しています。2024年度の飲食業調査によれば、外食企業の25.4%が国内出店計画を減少させたと報告しており、特に「飲食物調理」と「接客・給仕」の職業は求人倍率が高く、求職者にとっては有利な市場となっています。人手不足の根本的な要因として、団塊世代が退職を始め、若年層の労働力が減少していることや、働き方への価値観の変化が挙げられます。

これに対処するためには、従業員が「ここで働きたい」と思える環境の整備が必要です。その一環として、従業員体験（EX）を向上させるための体験型研修が注目されています。

体験型研修の重要性

くら寿司では、職場環境の改善とモチベーションの向上を目指し、体験型研修を実施しています。これにより、従業員は自らのスキルを向上させるだけでなく、企業理念の理解も深まります。新入社員の中には、過去にアルバイトとして勤務していた経験を持つ者が多く、早くから社風に親しむことで定着率が高いという特長もあります。

また、研修の内容も多様化しており、漁業現場や農業体験に出向く研修も行われています。こうした体験を通じて、社員は生産者への感謝や自然への敬意を学び、外部環境とのつながりを感じることができます。

具体的な研修事例

くら寿司が取り入れる具体的な研修事例には、技術コンテスト「KURA-No. 1 ＧＲＡＮＤＰＲＩＸ」や、農業と漁業の現場体験があります。特に「KURA-No. 1 ＧＲＡＮＤＰＲＩＸ」は、全国の店舗スタッフが技能を競う形式で、多くの従業員に向上心を促します。2025年にはこのコンテストが初の世界大会としてアメリカや台湾の店舗からも参加者を迎える予定で、スタッフの士気向上につながっています。

EX向上のためのコミュニケーション

人手不足解消に向けて、採用活動や研修における工夫が求められます。たとえば、「ジョブ型採用」の流れを取り入れ、求職者が求める環境を整備することです。企業理念やビジョンをはっきりと伝え、社員が自らの役割を理解することが重要です。また、研修を通じて理念が自分の夢と重なることで、仕事へのモチベーションが高まります。