リグニン樹脂の商業化
2025-03-27 14:16:41

住友ベークライトが世界初のリグニン変性フェノール樹脂を商業化

住友ベークライト、バイオマス由来のリグニン変性フェノール樹脂を商業化



住友ベークライト株式会社(東京都品川区)は、画期的な新製品として、世界初のバイオマス由来「固形ノボラック型」リグニン変性フェノール樹脂の商業販売を開始しました。この製品は、環境負荷を低減するための一環であり、持続可能な社会の実現に向けた重要な一歩となります。

環境への意識の高まり


近年、環境問題に対する意識が高まり、多くの産業がプラスチックのリサイクルやGHG(温室効果ガス)排出削減に積極的に取り組んでいます。特に従来のプラスチックが使われる用途では、リサイクルが難しいことが多く、そこでバイオマス由来の素材の導入が急務とされています。住友ベークライトは、化石資源から再生可能なバイオマス原料への移行を進めており、リグニンの活用がその鍵を握っています。

リグニン変性フェノール樹脂の特性


フェノール樹脂は、高い耐熱性を持つため、自動車部品などの厳しい条件で使用されます。通常、こうした用途ではリサイクルが難しく、バイオマスの利用が特に重要です。住友ベークライトは、2010年からリグニン成分に関する研究を開始し、その成果として今回のリグニン変性フェノール樹脂が誕生しました。この製品の開発には、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の支援が大きく寄与しています。

商業化の背景


住友ベークライトは、安定した供給が可能な紙パルプ製造の副産物であるリグニンを利用し、量産体制を確立しました。これにより、固形ノボラック型リグニン変性フェノール樹脂の商業化を実現しました。新製品「スミライトレジンPR-L-0002」は、RCS(レジンコーテッドサンド)メーカーにおいてバインダー樹脂として採用され、2024年初頭から一部自動車部品の生産に使用される予定です。

環境負荷の低減に向けた取り組み


新しいリグニン変性フェノール樹脂は、バイオマス率が15%であることから、化石資源の使用量を削減し、環境への負荷を軽減することを可能にしています。今後は、さらなるバイオマス率の向上を目指し、30%以上のバイオマス含有量を目指します。

未来への展望


住友ベークライトは、自動車部品やバインダーにおいてこの新しいリグニン変性フェノール樹脂を活用し、さらに多様な用途への展開を計画しています。環境や社会価値の創出を通じて、持続可能な製品開発を進め、より良い未来を築いていきます。今後も、環境に優しい技術と製品を追求し、社会に貢献していく姿勢を貫いていきます。

この新技術は、プラスチック業界における革新の象徴であり、環境問題に対する意識が高まる中、業界全体に新しい風を吹き込むことでしょう。


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