TOKYO FMが発表した2025年度中間決算の結果
2023年11月28日、株式会社エフエム東京(以下、TOKYO FM)は第61期(2025年度)中間決算を取締役会で承認したことを発表しました。この発表から見えてくるのは、放送事業における厳しい現状と、新たな成長分野での取り組みの成果です。
1. 中間期の業績概況
まず、当期の売上高は49億6千5百万円で、前年同期比4.2%の減少となりました。営業利益は1億2千万円、経常利益は3億9百万円で、いずれも前年同期に比べて減少しています。特に、放送事業のタイム収入はネットワーク案件の減少により11.0%の減少を記録。さらに、スポット収入も前年同期比で2.5%の減少となり、全体的には厳しい数字となりました。
一方で、前期からのセグメント変更によって強化した「IP企画事業収入」は目を見張る成長を遂げました。同事業は前年同期比で46.0%の増加を示し、その驚異的な進展は「推し活」文化によるファンダムの拡大が背景にあると考えられます。具体的には、声優やゲーム実況者を対象にした有料会員が増え、コンテンツ収入は前年同期比159.9%の増加を見せ、物販収入も158.5%の増を記録しました。
2. 費用の抑制と影響
販売費や一般管理費は、事業再編や組織体制の見直しにより5.1%減少しました。このことが、IP企画事業の収支改善や、営業利益の回復に寄与したものの、依然として放送事業の減収が大きな影響を与えています。結局、営業利益と経常利益は減少したものの、中間純利益は計画を上回る利益計上に奏功し、法人税等が減少したことで3億1百万円に達し、前年同期比1.9%の増となりました。
3. 2025年度予算の進捗
下期に入ると、10月の営業利益は前年同月比で6千9百万円改善し、明るい兆しが見え始めています。さらに、11月の営業利益も前年同月比で大幅に改善すると予想されています。これらは、特にスポット収入が好調であること、販売費および一般管理費の抑制が寄与していると見られています。
TOKYO FMは、今後もスポット収入の増加を持続させつつ、IP企画事業をさらに成長させていく方針です。この取り組みを通じて、通期予算達成を目指す意向です。
4. 経営に対する取り組み
また、民放業界全体におけるコーポレート・ガバナンス強化の流れの中で、TOKYO FMは人権方針を制定し、コンプライアンスの徹底を重視するとしています。これにより、経営の最重要課題として人権尊重を位置付け、さらなる信頼性の向上を目指しています。
TOKYO FMの報告書は、局のこれからの方向性をがっちりと示すものであり、注目に値します。今後の展開にぜひ注目していきたいです。