地域連携で整備士を育てる新しい奨学金制度の誕生

自動車整備士不足が全国的に深刻化する中、水戸市に位置する水戸自動車大学校が関鉄自動車工業と協力し、企業奨学金制度を新たに設立しました。この取り組みは、自動車整備士を志望する若者に経済的な支援を提供すると同時に、同業界の未来を見据えた人材の確保と育成を目指しています。

企業特待生（奨学金）制度の内容

この新制度は、2025年9月2日に正式に協定が締結され、従来の教育機関と企業の連携を進めるものです。具体的には、関鉄自動車工業が対象学生に対して2年間で総額300万円の学費を支援します。さらに、卒業後に同社で5年間勤務すれば、奨学金の全額が免除されるという魅力的な条件が盛り込まれています。この仕組みを通じて、学生は経済的負担を感じることなく、国家資格取得に専念できる環境が整います。

学費支援と就職支援の一体化

この制度は「学費支援」と「職業確保」を一体化させることで、整備士を目指す学生の減少を克服しようとするものです。これにより若者たちが地元で安定したキャリアを構築できる機会を与え、整備士不足の問題に直面する業界全体を支えることが期待されています。特に県内での人材確保につながる施策として、地域貢献の意義も持っています。

全国規模での整備士不足の現状

実際、業界全体では悪化する整備士不足が懸念されています。日本自動車整備振興会連合会のデータによれば、2030年には全国で約3万人の人材不足が予想されています。この背景には、少子化や高額な学費負担、さらには業界からの人材流出といった要因が挙げられています。このような実状を受け、今回の奨学金制度は教育機関と企業が共に整備士育成の責任を肩代わりする新しいモデルとして注目されています。