2025年「錦秋歌舞伎特別公演」への期待感
2025年10月、歌舞伎ファン待望の「錦秋歌舞伎特別公演」が全国5か所で開催されます。この公演に向け、中村勘九郎、中村七之助、上田秀一郎の三者による鼎談が実現。彼らの友情や公演への思いをお届けします。
三者の貴重な出会い
鼎談では、まず彼らの初めての出会いが話題に。上田秀一郎は2008年にベルリンとルーマニアでの公演で中村兄弟と共演したことを振り返り、「初めて歌舞伎の現場に関わるのはこの公演だったが、非常に緊張した」と語ります。その一方で、中村勘九郎は「全く違和感がなく、上田さんは人に好かれる素質を持った方だ」と称賛しました。中村七之助は、上田さんが初対面から「たかちゃん」と呼んでくれたことが印象深かったと笑顔で振り返ります。
印象的な共演
共演の中で、中村勘九郎は特に2011年の博多座での公演を挙げます。この公演では、彼の父に代わって出演し、上田の太鼓が支えることで新たな表現が生まれた手応えを感じたとのこと。上田さんも即興的な創作を行い、共に試行錯誤しながら立ち回りのテンポや間合いを調整した貴重な経験を思い出します。
また、2024年の中村勘三郎十三回忌追善の公演では天候の影響でサウンドチェックができないまま本番に臨むという奇跡的な舞台を経験。本当に難しい状況の中でも、皆が力を合わせて乗り越えたことを語ります。
錦秋歌舞伎特別公演の魅力
2025年の公演について中村勘九郎は、過去の公演からの変化について話し、今回は長唄と三味線が加わり、上田が太鼓ソロを演奏することで全く新しい作品となることに期待を寄せています。中村七之助は、華やかな演目『元禄花見踊』の魅力を語り、歌舞伎舞踊の入門にも最適であるとのこと。特に、観たことのない方々にも楽しんでもらえるよう配慮されています。
上田秀一郎は、東日本大震災支援活動の過程で生まれた曲『光の道標』を演奏すると述べ、太鼓の持つ「祈り」の力を信じて観客の心に響く音を届けたいと熱意を持って語ります。
全国巡業の意義
中村勘九郎は、全国巡業の意義として、歌舞伎をまだ観たことがない人たちに出会うことを挙げます。多様な地域に足を運ぶことで、より多くの人々に歌舞伎の魅力を届くことが、彼らの長年の活動にも繋がっていることを強調しました。仲間同士の絆や信頼を深めながら、互いのプライベートを楽しんでいるという一面も明かされました。
最後に、三者から公演を楽しみにしている皆様へメッセージが送られました。中村勘九郎は、異ジャンルの融合から生まれる新しいエネルギーを体感して欲しいと呼びかけ、中村七之助は絵的にも華やかな演目で、舞台と客席の一体感が生まれるような体験を楽しんでほしいと述べます。上田秀一郎も太鼓の響きで心に火を灯すような舞台を目指していると力強く締めくくりました。
公演詳細
- 10月9日(木)、10日(金)群馬 余興場
- 10月17日(金)新潟 りゅーとぴあ
- 10月19日(日)金沢 金沢歌劇座
- 10月21日(火)愛知 穂の国とよはし芸術劇場PLAT
- 10月22日(水)東京 かつしかシンフォニーヒルズ
サンライズプロモーション 0570-00-3337(平日12時〜15時)
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取材・文/山下シオン
撮影/池上夢貢(株式会社GEKKO)