日産自動車が手掛ける動物保護プロジェクト
日産自動車株式会社は、持続可能な未来を見据えた新たな取り組みとして「NISSAN ANIMALERT PROJECT」を発表しました。このプロジェクトは、電気自動車(EV)の特性を活かして、動物が車両に接触してしまう事故、すなわちロードキルを防ぐことを目的にしています。
プロジェクトの背景
2021年7月に世界自然遺産に登録された奄美大島では、動物と車両の衝突が深刻な問題となっています。環境省の調査によると、この島に生息する絶滅危惧種アマミノクロウサギのロードキル件数は年々増加し、2023年には過去最多の147件に達しました。このような状況を受け、日産は歩行者にクルマの接近を知らせるシステムを動物にも適用することを考えました。
プロジェクトの目的と取り組み
「NISSAN ANIMALERT」は、主に歩行者用の接近通報音技術を基にしています。この技術を応用し、動物にもクルマの接近を知らせることで、動物が事故に遭う可能性を減少させる狙いがあります。また、日産はこれまで「#猫バンバン」や「日産リーフ」の提供など、動物保護活動にも積極的に取り組んできた実績があります。
この取り組みの第一歩として、日産は奄美市や環境省、岡山理科大学等の団体と連携し、アマミノクロウサギの保護活動を始めます。目的は、車両による接触事故をゼロに近づけることです。
実証実験の進捗
実証実験は奄美大島と徳之島で行われます。日産テクニカルセンターでは、高周波音の特性の分析を行い、動物にとって有効な音の特性を測定。奄美大島での実験では、特定の周波数の音がアマミノクロウサギの行動に及ぼす影響を観察します。実験では、高周波音を発するデバイスを搭載した日産サクラが夜間に走行し、アマミノクロウサギが音に反応する様子が確認されました。
プロジェクト映像の公開
日産はこのプロジェクトの詳細を伝えるため、プロジェクトムービーを公開しています。この映像ではアマミノクロウサギが道路での危険を訴え、日産がこのプロジェクトに取り組む意義が紹介されています。ナレーションを務めるのは、IMALU氏で、彼女は奄美大島の自然と動物愛護に深い関心を持っています。
参加団体と協力
このプロジェクトには、日産自動車をはじめ、鹿児島県奄美市役所、岡山理科大学、環境省など計7団体が参加し、万全の体制で実施されています。日産は、自社の技術を駆使して、動物保護の新たなアプローチを模索しています。
今後の展望
日産は「NISSAN ANIMALERT」を通じて、次第に全国各地に広げていく計画であり、最終的にはすべての地域で発生している動物のロードキル問題の解決に寄与することを目指しています。交通社会における人と動物の共存を実現するというビジョンに向かって、一歩踏み出した日産の取り組みに期待が高まります。