ハイケムが実現する環境に優しい公共交通
グローバルな化学品商社であるハイケム株式会社は、最近、マレーシア・サラワク州で環境に配慮した燃料電池バス(FCバス)の導入を果たすため、大手バス運行会社のBiaramas Express Sdn Bhdとの覚書(MOU)を締結しました。この取り組みは、持続可能な交通システムの実現を図る重要なステップとなります。
特にサラワク州では、豊かな水力資源を駆使して約3.5ギガワットの水力発電所が稼働しており、これにより高効率なグリーン水素の製造が期待されています。サラワク州では、2030年までに年間10万トンの水素製造を目指し、地域独自の水素ロードマップも策定されています。この計画を支えるため、FCバスの導入は新しい公共交通手段の選択肢を提供するとともに、地域社会の脱炭素化に寄与することが見込まれています。
MOUの意義
ハイケムとビアラマスの提携により、地域のバス運行に関する深い理解と広範な車両ネットワークを持つビアラマスに、ハイケムの高度な水素輸送技術と効率的な水電解槽/膜技術が組み合わさります。これにより、信頼性の高い環境に優しい交通手段を地域住民に提供するための新たなソリューションが生まれるでしょう。
このMOUはただの始まりに過ぎません。今回の合意を通じて、ハイケムはビアラマスとともにサラワク州の水素経済を支える重要な役割を果たすことになります。水素燃料供給施設の試験運用や、公共交通機関への水素利用を目指す取り組みが急速に進んでいます。
ハイケムの水素ビジネスと背景
同社は以前にも、サラワク・ペトケムとの間でMOUを結び、合成ガスからエチレングリコールを製造する技術(SEG®技術)を使用したプラントの開発を計画しています。この技術は、中国での大規模なライセンス業務を通じて蓄積した経験と実績を基にしています。
ハイケムは現在、年産130万トンの水素活用に成功しており、国内外で水素ビジネスのネットワークを広げてきました。また、中国のカーボンエナジー社と提携し、新たな技術の共同開発にも力を入れています。これらの事業の延長線上に、サラワク州における持続可能な交通機関の導入が位置づけられているのです。
ハイケムのビジョン
ハイケムのビジョンは、化学品商社としてだけでなく、環境技術の分野でも革新を追求することです。医薬や食品、ライフサイエンス、エレクトロニクスなど多様な分野での事業展開に加え、脱炭素化技術の開発・商業化にも力を注いでいます。
東京都港区に本社を置くハイケムは、今後もこれらの革新的な技術を基盤に、多くの地域で環境にやさしいソリューションを提供していくことでしょう。サラワク州でのFCバス導入は、こうしたビジョンを具現化する第一歩となります。